選手のレベルが、従来より高いわけではない。これは確かだと思うが、それ以上にサッカーの質の低さは目に止まる。選手個々のレベルの低さが、監督力、すなわち、サッカーゲームの戦い方で補われているわけでは全くない。むしろその逆。選手個々のレベルの低さが、必要以上に目立つサッカーになっている。

 監督の責任は大きい。とりわけ難があるのが前線4人の動かし方だ。無秩序で非効率な、難易度の高いサッカー、奪われると、ピンチに陥りやすいサッカーだ。これは、ジーコジャパン、岡田ジャパンにも見られた傾向だが、高校サッカーなど、巷で相変わらずよく見かけることができる、まさに日本的なサッカーそのものだ。A代表で、もはや見かけることがなくなった古典的なサッカーが、そこでは相変わらず、堂々と展開されている。

 そもそも、五輪チームの監督はなぜ日本人なのか。トルシエ時代を除き、それが慣例になっているが、ここで旧バージョンのサッカーをすることは、その後の選手の伸びにも悪影響を与える。旧バージョンの選手を多発させる温床になる。出場している選手が、僕には不憫というか、可哀想に見えてしまう。

 いまからでも遅くない、監督を変えるべきだと僕は思う。そう思わせるほど、よくないサッカーを手倉森監督はしている。

 ハリルホジッチに任せるのもよし。それが物理的に不可能なら、ハリルホジッチとコミュニケーションが取れそうな外国人監督を、いまからでもいいから探すべき。五輪チームにも外国人監督を起用することを常識にすべし。日本の古い価値観を、このまま生かしておけばリオ五輪、ロシアW杯はもとより、2020年東京五輪も危なくなる。A代表、五輪チーム共倒れになる恐れがある。A代表だけ、優れた監督を探し求めても、日本サッカーは進歩しないと僕は思う。