連載中でお薦めの歴史漫画10選―「『ヒストリエ』作:岩明均」「『キングダム』作:原泰久」

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歴史上の人物、出来事に題材を採った漫画は「歴史漫画」というジャンルに入るのだそうです。現在連載中の歴史漫画の中からお薦めの10作品をご紹介します。

■『ヒストリエ』作:岩明均
『寄生獣』で有名な岩明均先生が現在『月刊アフタヌーン』(講談社刊)で連載中の漫画です。主人公は、アレクサンドロス大王に仕えた書記官・エウメネス。舞台は紀元前4世紀のオリエント世界で、マケドニア王国の隆盛、その中で生きるエウメネスの生涯を見事な話運びで描いています。

■『ヴィンランド・サガ』作:幸村誠
『プラネテス』などの代表作を持つ幸村誠先生が『月刊アフタヌーン』(講談社刊)で連載中です。11世紀の北ヨーロッパを舞台に、ヴァイキングの一員として幼少期を過ごしたトルフィンの成長を描きます。日本人にはあまりなじみがありませんが、この時代はヴァイキングの最盛期で、漫画の中で描写される風俗はとても興味深いものです。

■『ナポレオン −覇道進撃−』作:長谷川哲也
『ヤングキングアワーズ』(少年画報社刊)で連載中の漫画で、フランスの英雄ナポレオンの活躍を描いてます。史実には基づいていない部分もありますが、それを補って余りあるパワー、男くささが全編にみなぎっています。

個性あふれる人物造形は、長谷川史劇の真骨頂といえるでしょう。

■『天智と天武 −新説・日本書紀−』原案監修:園村昌弘/作画:中村真理子
『ビッグコミック』(小学館刊)で連載中の漫画です。舞台は7世紀の日本で、大和朝廷の波瀾(はらん)万丈を、中大兄皇子(後の天智天皇)と大海人皇子(後の天武天皇)の兄弟の確執を軸に描きます。

■『ジパング 深蒼海流』作:かわぐちかいじ
『週刊モーニング』(講談社刊)で連載中です。源平の戦い、その盛衰を、平清盛、源頼朝、源義経をメインに描いています。『沈黙の艦隊』のかわぐちかいじ先生ですので、さすがの骨太なストーリーテリング。安心して楽しめるエンターテインメント作品です。

■『風雲児たち』作:みなもと太郎
「明治維新を描くのに、関が原の戦いから始めた」伝説の漫画で、連載開始はなんと1979年(昭和54年)。途中連載していた雑誌がなくなるなどしましたが、現在は『月刊 コミック乱』(リイド社刊)で連載中です。

歴史大河ギャグ漫画と銘打たれており、ギャグ満載ですがとても勉強になる漫画で、歴史は人と人の関わりが作り出すものだとあらためて気付かされます。

■『風光る』作:渡辺多恵子
新撰組を題材に、『月刊フラワーズ』(小学館刊)に連載中の漫画です。幕末に活躍した新撰組はたくさんの漫画に登場しますが、この『風光る』では、実に渡辺先生らしい情感あふれる「新選組」になっています。女性ファンの多い作品で、ドラマCD化もされています。

■『キングダム』作:原泰久
『週刊ヤングジャンプ』(集英社刊)で連載中の漫画で、アニメ化もされています。春秋戦国時代の中国を舞台に、大将軍を目指す少年・信、後の始皇帝となる政の活躍を描きます。智謀を尽くして戦う合戦、血湧き肉躍るシーンの連続で、ファンから熱い支持を集めています。

■『プリニウス』作:ヤマザキマリ/とり・みき
『テルマエ・ロマエ』で一世を風靡(ふうび)したヤマザキマリ先生がとり・みき先生とタッグを組んで『新潮45』(新潮社刊)で連載中の漫画です。タイトルになっている「プリニウス」とは、1世紀のローマ帝国時代を生きたガイウス・プリニウス・セクンドゥスのこと。

プリニウスは『博物誌』を著した博覧強記の奇人で、その奇人ぶりが漫画内で存分に描かれています。この先が楽しみな作品です。

■『チェーザレ 破壊の創造者』作:惣領冬実
『週刊モーニング』(講談社刊)で不定期連載されている漫画です。15世紀末のイタリアを舞台に、歴史上に名高いチェーザレ・ボルジア、彼を取り巻く人々を、歴史的史料を参照しながら見事に描いています。本作はイタリアでも単行本が出版されています。

(高橋モータース@dcp)