有名ジャーナリストが飛行機の中で現代表監督にインタビューをし、「我々の主な問題はディフェンスだ」というコメントが大手メディアに飛び交ったら…大きなスクープとなるだろう。

残念なのは、それが偽物だったということだ。相手は代表監督ではなく、そっくりさんだったのである。ブラジルの有名テレビジャーナリスト、マリオ・セルジオ・コンティ氏に起きたことだ。

コンティ氏は先日、リオデジャネイロからサンパウロへ向かう飛行機の中で、ブラジル代表のルイス・フェリペ・スコラーリ監督と知り合ったと信じていた。監督に近づき、乗客に席を替わってもらい、ワールドカップ(W杯)2試合目のメキシコ戦で引き分けたばかりの監督に取材をしたのだ。

コンティ氏は自分がスコラーリ監督だと信じる人物が、「DFのせいだ。それが我々の大きな問題だよ」と述べ、批判を続けるのを聞いた。彼は、それがスコラーリ監督だと信じていた。

だが実際は、コンティ氏が話していたのは、ブラジルでは有名なスコラーリ監督のそっくりさん、ウラジミール・パロモ氏だったのだ。

パロモ氏は相手がコンティ氏だと気づき、冗談で自分に取材をしてきたのだと確信していた。だからこそ、選手たちを叩いたのだ。最後に、パロモ氏はコンティ氏に名刺も渡した。だが、コンティ氏はその名刺の方が冗談だと考え、記事に「なんと気持ちの強い男だ。別れる際に自分のそっくりさんの名刺まで渡したのである」と書いたのである。

こうして、サンパウロとリオの有名紙『A Folha』と『O Globo』は、重要な記事と考えてインタビューを掲載してしまった。そして何者かが疑問に思ったのだ。「ブラジルはフォルタレーザで試合をした。スコラーリ監督はリオとサンパウロを飛ぶ飛行機で何をしていたんだ?」と。

そして真実が分かり、メディアは撤回せざるを得なくなった。7万部の新聞が発行してすぐに無駄となったのだ。だが、もはや偽のスクープは出回ったしまった。2日後、両紙は謝罪記事を掲載せざるを得なくなったのである。