携帯会社の新規顧客獲得数を表す「携帯電話純増数」。最新の調査(2013年7月)では、ソフトバンクモバイルが25万4500件の純増となり、19カ月連続首位をキープしている。やはり、iPhoneによる好調ぶりはなかなか衰えないのか……と思いきや、この「純増数」という指標には、あまり知られていない“ウラ”がある。


今や「純増数(=新規顧客獲得数)で1位」はソフトバンクに欠かせないPRポイントになっている。孫正義社長も、7月30日の第1四半期決算発表会で、「純増数で他社を圧倒している」と自信満々に語っていた。


しかし、実際の「携帯電話純増数」のカウント方法は、世間一般のイメージと大きく異なる。“携帯電話”と謳っているが、スマホやガラケーのみを対象にしているわけではないのだ。


「携帯電話純増数」は各社が発表し、一般社団法人電気通信事業者協会(TCA)がまとめる。TCAのサイトを見ればわかるが、「携帯電話純増数」には「携帯電話の回線を必要とするすべての端末」が含まれている。つまり、ガラケーやスマホのほかに、プリペイドやIP接続サービスなども対象になるのだ。


2011年12月、ドコモが「携帯電話純増数」で21ヶ月ぶりに首位に返り咲いたことがニュースになった。しかし、それはケータイ事業が好調だったからではなく、ドコモ回線を通信に採用したゲーム機「PlayStation Vita」の発売により、プリペイド3Gの契約が急増したためだった。


ゲーム機でも「携帯電話純増数」にカウントされる――。一般ユーザーから見れば、なんとも不思議な仕組みだが、ソフトバンクはこれを逆手に取っている可能性が高い。


例えば、同社はスマホの契約に際して、店頭で“抱き合わせ販売”をしているとの指摘が一部のユーザーから上がっている。その方法とは、「スマホを新規契約すると、デジタルフォトフレームをプレゼント」というもの。もちろん、このデジタルフォトフレームも“携帯電話の回線を必要とする”ので、スマホとは別に「1回線」として純増数にカウントされる。


以下は“抱き合わせ”を指摘するツイッターの声だ。



「ソフトバンクはキャッシュバックとか0円と言いつつ、フォトフレームとか見守りとかで三回線くらい乗せてきやがる」

「SBに機種変更にきたけど、抱き合わせ商法があからさますぎ」

「iPhone一括0円で抱き合わせを要求するSBはクソだ。同じクソでもパケ詰まりで便秘ガチなKDDIのほうがまだマシだ」


デジタルフォトフレームのほかに、「みまもりGPS」(主に子供やお年寄りの位置確認に使われる)などの契約をすすめられるケースもあるという。


そのせいか、ソフトバンクの“解約率”はドコモ、auよりも高い水準を記録してしまっている。各社の資料によると、ドコモが0.8%、auが0.5%に対し、ソフトバンクは1%超にも達するのだ。


ソフトバンクの「純増数1位」というセールストークは嘘ではないとはいえ、このような実情を抱えたままのPR手法には疑問が残る。


【関連情報】
ソフトバンク「純増数が1位」に秘められたカラクリ
http://matome.naver.jp/odai/2137620639164523201