「それは……これまでに接したことがなかった選手と練習することは楽しみではありました。実際に田中(道教)選手、所(英夫)さんと初めてスパーして、それぞれスタイルが違いますし、強い選手がいっぱいで楽しかったです」

――田中選手は、すぐに手を合わせたいと日沖選手にスパーを願い出ていました。

「嬉しかったですね。強かったです。体も柔軟で、リカバーする能力が高かったです」

――22歳、日沖選手が国内で戦っていた時代と、日本のMMA界の状況は違いますが、あのまっすぐな勢いを見て、どのように感じましたか。

「僕はジムメイトでもないので、アドバイスする立場にはないのですが、このまま突っ走ってほしい気持ちと、言い方は悪いですがスマートに……、老獪さを身につけて欲しいという二つの気持ちがあります。ただ、老獪さを身につけることで良さを失うこともあります。だから、行けるなら突っ走ってもらいたいです」

日沖選手自身はいつまで突っ走っていましたか。

「僕は相当、突っ走っていましたね(笑)。戦略をもってラウンドを取るだとか、考えていなくて……とにかくフィニッシュしようと思って戦っていました。戦極のフェザー級GPの金原(正徳)選手との試合なんて見直してみると、ポイントは取れているのに無理やり取りに行こうとして……、そりゃあ疲れるよなって(笑)。いつまで突っ走っていたか、自分でも分からないですけど、今は逆にその気持ちを取り戻そうという想いもあります」