舞踏家のMiyoko Shidaさん。広島県出身。1997年に渡仏し、現在パリを拠点に活躍中。2013年4月放映のスペインのテレビ番組での神業パフォーマンスはYoutubeで1000万回以上再生されている

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舞踏家のMiyoko Shidaさん。広島県出身。1997年に渡仏し、現在パリを拠点に活躍中。2013年4月放映のスペインのテレビ番組での神業パフォーマンスはYoutubeで1000万回以上再生されている 写真一覧(2件)
今年の5月から一人の日本人女性が披露した神業がネットを中心に話題になっている。
まずはこちらをご覧ください。

これは4月に28日にスペインで放映されたテレビ番組"Tu Si Que Vales"(「あんたはスゴイ!」)の模様。
「サントンバランス(Sanddornbalance)」という、この神業とも呼べるバランスの妙技を披露したのは、日本人女性のMiyoko Shida Rigoloさん。Miyokoさん 、実はヨーロッパを中心に活躍されている舞踏家なのだ。そのMiyokoさんにその神業とその反響について伺った。

「当時私は参加していなかったのですが、『サントンバランス』はもともと1996年の『サントン』と呼ばれる公演の演目の一つだったようです。1999年に舞踏家のマディール・リゴロが『バランス・タンツ(balance tanz)』という公演で現在の彼のスタイルのものを作りました。『バランス・タンツ』は日本人舞踏家、古川あんずさん(故人)が振付で参加した世界的に人気のあった公演でした」

その後グループは解散し、マディール氏がソロで演じるようになった。その素晴らしさが話題を呼び、かのシルク・ドゥ・ソレイユの『アマルーナ』という演目に抜擢されることになる。実はMiyokoさん、その出演を打診されていたという。「『アマルーナ』の特性上、マディール本人ではなく女性アーティストが出演する必要があり出てくれないかというお話になりました。ただ2年の長期プロジェクトの出演は難しかったので辞退いたしました」

結局、マディール氏の長女のララ氏が『サントンバランス女性版第一号」としてその大役を射止めることになるのだが、プログラム中印象的な足で枝を拾い上げるという演出は、Miyokoさんの考案したものだという。程なくしてMiyokoさんは、短期のプロジェクトや単発の公演マディール氏の代役という形でパフォームを始めると、次々とオファーが増えていった。

その後『サントンバランス』は人気を博すようになり、2012年ロシアのイジェフスクで行われた第5回国際サーカス・アート・フェスティバルでは銀賞と特別賞の二冠に輝くなど評価を高めていく。

その中、マディール氏からMiyokoさんの舞台のない月にスペインのテレビにでないかという提案があり、件の番組"Tu Si Que Vales"への出演が決まったのだ。出演後は世界中のメディアからの問い合わせが殺到し、数カ月に渡り対応に忙殺されたという。

「いろいろな方面の方々から、さまざまな視点、解釈をいただ いたのはとても興味深かったです」
一本の羽根が世界の均衡の危うさと儚さを象徴するインパクトが、世界を席巻したのだ。同時にその繊細な演出ゆえの難しさもあるという。

「わずかな微風であっても崩れてしまうことがあります。上演の際には、エアコンを止めていただくとか、ドアや幕はすべて閉じていただくとか、お願いすることがあります。温度差ができると風が生じますのでかなり神経を使います」

実際、過去にも風の影響で崩れてしまったことも過去にはあった。
「アーティストの立場としては、作品を完結できないのは大変苦しいものがあるのですが、壊れやすく儚いものを目の当たりに観ていただくということを考えると、舞台としてはたまにそういうことがあってもいいのかもしれませんね」

演者として、アーティストとしてMiyokoさんは観客に何を感じ取って欲しいと思ってます演じてるのだろうか。
「私には私なりの思い入れがありますが、この作品を通してメッセージを伝えるつもりはありません。ご覧になった方々が特に先入観なく、作品を味わって、そこからまた何かがその方の中で始まっていくなら、とてもすてきだと思います」

「ただスペインテレビでは8分弱に縮小されていますが、実際の舞台では、12ー15分あります。できれば生の舞台をご覧いただければと思います。私自身も舞台を通じて、観客の皆様との一期一会の出会い、時間・空間の共有が大切に考えています。その中で、ご覧になったお客様の心の中に、更なる広がりと可能性が生まれてくるのだと思います」

同じパフォーマンスであっても、Youtubeで見るのとライブのバイブスを感じるのの違いは、たった一本の羽根と同じくらい大きいということか。
(鶴賀太郎)