尖閣を巡る日本と中国の対立で、米国側が佐々江賢一郎駐米大使に「(米国の立場は)中立ではない」と説明したとされる件について、中国政府・外交部の洪磊報道官は2日の定例記者会見で、「日本側が釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)の問題で、その他の国を引き入れて中国に対抗しようとしても、無駄な努力だ」と述べた。

 朝日新聞によると佐々江大使は10月31日、米国側が「わが政府が特定の立場をとらないということは、中立ということではない。日米安保条約が尖閣諸島にも適用されるとの明確な立場を適用し、日本が武力・脅威に直面した場合、十分な対応をする。中立ではありえない」と説明したと述べた。

 洪報道官は「釣魚島は古来中国の神聖な領土だ。国家の主権と領土の完全さを守ることを確信し、その能力も持っている」と主張し、「日本側が釣魚島の問題で、その他の国を引き入れて中国に対抗しようとしても、無駄な努力だ」と述べた。

◆解説◆

********** 中国では日本の国内にもさまざまな政治的考えがあることが、しばしば紹介されている。尖閣諸島の国有化については「右翼政治家の石原慎太郎東京都知事(当時)が騒ぎたて、野田政権が“人気取り”のために踏み切った」との説明が一般的だ。

 一方で、朝日新聞については「親中的」との認識もあり、同紙の中国絡みの報道を紹介される場合、「左派報紙(左派新聞)」と形容される場合がある。佐々江大使への取材を含め、尖閣諸島に関連する朝日新聞の報道について、「左派報紙である朝日新聞によると」と紹介される場合がみられる。多くは、中国側の考えと対立する同新聞の記事における説明だ。(編集担当:如月隼人)