10日に行われた『サムライサッカーキング』創刊記念トークライブ「日本代表サムライナイト」にゲストとして出演したサッカー解説者のセルジオ越後氏は、参加者との質疑応答の中で次のように語った。

Q、代表がさらに躍進するために協会が最優先で改革すべきことはなにか?

競争心が必要でしょうね。
いい仕事をした人が偉くなって、期待に応えられない人は去っていく。

でも今は組織も人事もプロじゃないよね。
選手は入れ替わる、監督も入れ替わる。でも協会関係者は入れ替わらない。
株主総会も無ければ、会長選挙もない。
そこが変わらない限りはまず無理でしょう。

香川はなぜ五輪に出なかったのか。
代表よりクラブが大事だってことでしょ。
でも最高の目標は何なのか。
日の丸のためが一番ではないのか?

五輪よりマンチェスターの方が、
ブランドとして大事みたいな意見には到底賛成できない。
五輪でメダルを取れなかったけれど、やるべきことを全部やったのかな?
なでしこジャパンには招集を断る選手はいなかったよね。
そういうところを分析すると、関塚監督だけの責任ではないよ。

ちゃんと仕事をして結果を出して、
結果を出せなかったらポジションを奪われる。
そういうプロの仕事を協会にも求めるべきではないかな。

Q、Jリーグ設立の目的は代表強化にあったと思うが、
今後、日本代表がより発展するために、各クラブが果たすべきことは?


サッカー協会とJリーグが、
話し合って方向性をしっかり決めることが必要じゃないかな。
同じ建物に一緒にいるけど今は完全に「ねじれ協会」になっている。

今のJクラブの社長は
もうリーグ設立の理念を知らない人がほとんどじゃないかな。
でもJリーグにはそれを知っている人が
確実に残っているのだから、
もう一度、Jリーグはなんのためにあるのか確認をすればいい。

Jリーグの創設時と今と、どちらの方が選手の年俸は高いのか?
創設当初、Jリーグは神田の小さなビルにあり幹部も電車で通っていた。
今では、大きなビルを買い、給料をもらい、ハイヤーで通うようになって、
でも、肝心のJリーガーの給料はとても低くなってしまった。

選手が潤うために組織は運営をするんだよ。
選手が苦労して組織が潤う。順序が逆転していない?

ヨーロッパはすごく景気が悪いのに、
給料は日本よりも良くて、日本人選手はどんどん海外に行く。
それは欧州のクラブが企業だけに支えられているのではなく、
地域や人々に支えられているから。

多くのJクラブはまだ親会社が人事権を持っていて、
オープンになっていないから人口5万人の地方クラブが優勝できてしまう。
地域の人や企業やさまざまな人たちが参加してくれば、
Jリーグはもっと活発になる。

もう一度、リーグ創設の理念を見直すところから、
はじめてみてはどうだろう?

オリンピックは全員国内リーグ所属のメキシコが優勝した。
国内リーグを良くして、ちゃんとギャラを払って、
そこのレベルを高くしたら世界と戦えるんですよ。

Jリーグが目指していたのはそういうことではないの?

Jリーグができたころ、
サッカー教室に来た子供たちに将来何になりたいと聞くと、
みんな口を揃えてJリーガーになりたいと言うんだよね。

でもいま子供たちに聞くと、海外でプロになりたいと言う。
子供たちは正直ですよ。



質疑応答も含めておよそ2時間、
参加者との熱いやり取りに、イベント終了後、
こういうイベントは毎週でもやりたいと語っていたセルジオ氏。
このほかにも会場では、より具体的な疑問点、問題点の指摘が。
興味のある方は、ぜひ次回、イベントへのご参加を。