横綱が白鵬1人となって3度目の名古屋場所が始まったが、角界が八百長問題のダメージから回復を目指す裏で、あの男の暴走が加速していた。元横綱・朝青龍だ。白鵬と同じ故郷のモンゴルで警官に暴行したかと思えば、日本も巻き込み「恥さらし事件」を次々と起こしていたのだ。
グラスを床に叩きつけて…
 元横綱・朝青龍(31)=本名・ドルゴルスレン・ダグワドルジ=が、騒ぎを起こしたのは今年5月1日未明のこと。モンゴルの首都ウランバートル市内でビールを飲んだあと、4輪駆動車を運転し、ガードレールにぶつけたのだ。
 駆けつけた警察官が酒気帯び運転の疑いで連行しようとすると、これを拒否。あろうことか、その警察官の胸ぐらをつかみ制服を破ったという。
 日本なら、ここまでやれば公務執行妨害で逮捕、勾留されるところだが、朝青龍は公務執行妨害で罰金2万トグログ(約1200円)を支払い、警察官の制服代として15万トグログを弁償して釈放された。
 事件を知ったモンゴルの旬刊紙「私的裁判官」がこれを報じ、事実が明らかになった。同紙は、〈一般人が公務執行妨害で逮捕されれば、30日は勾留される。有名人だから、罰金で済んだのか〉
 と、疑問を呈したものだ。
 スポーツ紙記者が言う。
「モンゴル通貨の価値は日本の15分の1くらいですから、制服代と合わせて日本円で15万円弱を支払った感覚で釈放された形です。法治国家とは思えないユルさですよ。ただ、事件を知ったモンゴル人は皆、一様に『またか』といった反応ですね。朝青龍はモンゴルでも有名人ではありますが、人望はさっぱりない。本人は、かつて一時期『大統領を目指す』などと、うそぶいていたこともありましたが、もはや誰も相手にしません」
 それにしても元相撲取りがビールを飲んだくらいで酔っ払うものなのだろうか。朝青龍を知るある元力士は、こう証言する。
「横綱は日本にいる頃から酒を飲むとセックスしたくなるのか、バイアグラや興奮作用のあるクスリを飲んでいましたからね。そのせいで酔いが回ったんじゃないですか」
 いずれにせよ朝青龍は、2年前の初場所中に一般人に対する暴行事件を起こして引退しモンゴルに帰国してからも、まさに傍若無人。
 こんなこともあった。ウランバートルに駐在する日本人が語る。
「昨年8月頃のことです。朝青龍が、若い女性とフランスの高級ブランド『ルイ・ヴィトン』のウランバートルのショップを訪れた。店員は、国民的英雄の来店がよほどうれしかったのか、店内で2人にシャンパンまで出して歓待したそうです」
 朝青龍はショッピングを満喫し、1500万トグログ(約100万円)分も選んだ。そして会計の際、預金口座から引き落とされるカードのデビットカードを出し、品物の代金を払おうとした。
「ところが、残金が足りず、店員に『決済できない』と告げられたんです。激怒した朝青龍は自分の落ち度を棚に上げ、シャンパングラスを床に叩きつけ、店内のガラスをメチャメチャに割ってしまった」
 この騒動を地元紙が報じると、国民の誰もが朝青龍の素行の悪さに眉をひそめた。さらには、タミル夫人への度重なるDVも現地では報じられ、国民の知るところとなっている。
 今回、警察官に暴行しても誰も驚かないのは無理からぬことなのだ。