さて、前回のコラムで紹介したファンタジーベースボール。好みの選手を選んでチームを編成し、高ポイントを狙うこのゲームだが、各選手にはゲーム上の年俸が設定されており、ルールで定められた総年俸の上限を超えることができない。つまり、いかに低年俸で活躍しそうな選手をチームに加えておくかがカギになってくる。そこで、今回は投手・野手ともに、僕が「買い」だと目をつけている選手を紹介したい。

 まずは、野手から。今季、自慢の快足を武器に活躍しそうな2人の若武者から。1人目は、上田剛史(東京ヤクルト)。今季のヤクルトは、長年、チームの顔だった青木宣親が海を渡り、“ポスト青木”探しが急務だった。3年前に野手転向した雄平との争いを制し、青木の定位置だったセンターのポジションをつかんだのが、この上田だ。

 昨季は、イースタンリーグで55盗塁を記録し、盗塁王に。一気にブレイクが期待される今季も、「レギュラーになるだけでなく、タイトルを獲るつもりで」と高い目標を設定する。その言葉通り、オープン戦では9盗塁を記録。2012年シーズンの盗塁王争いに名乗りをあげた。

 前回のコラムでも紹介したFSJのファンタジーベースボールでは、上田の年俸は5000万円と設定されている。外野手のトップは長野久義(読売ジャイアンツ)で1億7700万円、また昨季の盗塁王である藤村大介(巨人)が1億1700万円だから、それに比べるとずいぶん破格であることがわかる。

 次に紹介したいのが、梶谷隆幸(横浜DeNA)。昨季もブレイクを期待されながら故障に泣き、あまり出場機会を得られなかった23歳。今季から就任した中畑清監督が標榜する“セコイぜ野球”に欠かせない俊足の持ち主として、オープン戦後半には「1番・遊撃」に定着。昨季、規定打席に到達し、3月に行われた台湾との親善試合にも日本代表に選出された渡辺直人から一気にレギュラーの座を奪ってしまった。

 その期待に応えるべく、オープン戦では走りまくった。最終戦では1試合3盗塁を決め、合計13盗塁。オープン戦の盗塁王に輝いた。その梶谷のFSJ年俸は、3900万円。なんと、遊撃手のなかでも最安値の選手なのだ。これは、遊撃手のトップが中島裕之(埼玉西武)の1億9600万円であることを考えても、かなりのお得選手だと言うことができる。

 今季のセ・リーグは、この上田と梶谷を軸に盗塁王争いが繰り広げられるのではないかと予想している。ファンタジーベースボールにおいて、盗塁数はもちろん重要な要素。この2選手は、かなりの狙い目だ。

 長くなってきたので、投手編については、また次回――。

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