[photo by Tsutomu Kishimoto]

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2006年のジーコ監督時のデジャビュのようだ。

選手たちのコンディションが整わなかった時に、ゲームの質が恐ろしいほど低下する。

気持ちがなかったとは思わない。前半立ち上がりからプレッシングをかけて、畳み掛けようと言う意思は見えた。ただ、アジアの“3次予選レベル”の多くのチームとは違い、ウズベキスタンはのまれなかった。問題視されたコンディションの差も影響したかもしれないが、難なく日本のプレスを掻い潜り、「やりたいことができた」とアブラモフ監督は振り返る。

そして、それ以上に深刻だったのは、「今日は起点になるパス、攻撃のスタートになるパスがなかなかうまくいかなかったんで。自分も含めてみんなちょっとずつタッチのミスがあった」(内田篤人)という部分だ。

ビルドアップからサイド、中盤の底を経由したパスの精度が低い。前線にボールを送っても、イメージが合わないのか収まらない。ゆえに展開力がなく、個の一瞬の閃き任せになってしまう。

そこにコンディションの問題があったとしたならば、別の選手を使うべきだし、そのためにチームのシステム、さらにいえば親善試合は存在する。

敗因をコンディションで片付けてしまうと、ジーコ監督時の日本代表、オールスターサッカーと同じ。今日の試合であれば、あきらかに内田、遠藤保仁、長谷部誠、ハーフナー・マイクが良くなかった。ならば、アイスランド戦である程度のパフォーマンスを見せた槙野智章や駒野友一、中村憲剛、前田遼一というチョイスだってある。そういったチョイスがないから、いつまでたっても、遠藤、長谷部の代えで名前が上がる選手が少ないまま。メンバー固定化の弊害がすでに生まれてしまっている。

もちろん、そんなことはザッケローニ監督も百も承知で、このメンバーで試合に臨んでいるはずだ。だからこそ、結果には責任が求められる。「コンディションが悪いから負けた」のではなく、「コンディションが悪いメンバーを選んだから負けた」「コンディションが悪いのに、いつもと同じ戦い方だから負けた」のである。最終予選で対戦するチームはウズベキスタンクラスばかり。宮市亮の代表最年少ゴールどころか、暗雲立ち込む結末となってしまった。

◇著者プロフィール:石井紘人 Hayato Ishii
コーチ、審判の資格を持ち、FootBall Referee Journal(fbrj.jp)を運営し、ほぼ毎日更新している。中学サッカー小僧で連載を行い、サッカー批評、週刊サッカーダイジェストやサッカー専門誌以外にも寄稿。著作にDVD『レフェリング』。ツイッター:@FBRJ_JPで様々な情報をつぶやいている。

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