気づくと首位まで上がっている。
FC東京を春先に3試合見て私は「厳しい」と思った。

米本拓司、平山相太、高松大樹と負傷者が多い。
ポゼションサッカーも精度、スピードを欠いている。
しかし私が見に行った愛媛戦後に、チームは急浮上する。
リーグ戦5連勝と駆け上がり、21節には首位へ浮上した。
知人に聞くと「すっかり良くなってるぞ」と。
自らの不明を恥じつつ、本領を発揮し始めたFC東京を見よう。

ザスパ草津はラフィーニャがガンバ大阪に電撃移籍。

上に行く人材だと思ったけど、いきなりガンバは驚いた。
エースの離脱による影響がないはずはない。
草津は直後の鳥取戦は0−5で落とした。
ただその後は2勝1分と持ち直している。
現在の順位は12位だ。

味スタに入ると浴衣姿の女性が多い。
浴衣まつりというイベントをしていたんですね。
雰囲気が華やいで素晴らしい!

女性は浴衣だと魅力が3倍増しくらいになります(党首比)

FC東京
−−−−−−-セザー-−−−−−−
−−田邉−−−羽生−−−谷澤−−
−−−−−梶山−−高橋−−−−−
−中村−−今野−−森重−−徳永−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−塩田−−−−−−−



ザスパ草津
−−−−萬代−−アレックス−−−
−−熊林−−−−−−−−後藤−−
−−−−−櫻田−−松下−−−−−
−田中−−御厨−−柳川−−古林−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−-北-−−−−−−−


FC東京の前線は流動的。

前後左右が頻繁に入れ替わる。

開始50秒、草津のカウンター。
櫻田和樹が自陣で相手ボールを奪う。
熊林親吾は左サイドにロングフィードが入れる。
アレックスがエリア内まで切れ込んで左足シュートを狙った。
決定的だったけどGK塩田仁史がブロック。

草津にいきなりのビッグチャンスが訪れた。
しかし前半の草津は本当にこのワンチャンスだけ。

FC東京がボール、試合を支配した。
組み立ての質が確実に上がっている。
突破できるスペースが中にあればドリブル。
パスを通すくらいのスペースがあれば縦に当てる。
それが無理なら横へ叩く。
サイドバックが縦に出て行くもよし。DFを食いつかせるもよし。
そういう選択がスムーズにできている。
攻撃の「オートマチズム」が身に付いた。
愛媛戦までと違って前線の動きが重ならない。

誰かが引いてパスを受けると、もう一人は裏を狙う。
右を狙ってDFを引き付ければ、もう一人は左を狙う。
そういう連動ができている。
流動的な位置取りでもバランスが崩れない。
私は大熊清監督を「リアリスト」だと思っていた。
でもこういうアタックが組める引き出しもあるんだ。

16分、FC東京の波状攻撃。
谷澤達也がボールを下げ、梶山陽平は右に振る。

セザーが裏に落とす。
徳永悠平はエリア右に切れ込んで折り返す。
決定的だったけど柳川雅樹がクリア。

17分、FC東京は田邉草民が持ち上がって縦に当てる。
羽生直剛はワンタッチで後ろに落とす。
田邉草民がワンツーから右足ミドルを狙った。
これはGK北一真の正面。

21分、FC東京はセザーが右からエリア内に当てる。

田邉草民がエリア内でつなぎ、羽生直剛はワンタッチで下げる。
セザーは右から中に回り込んでいた。
しかしセザーのシュートは草津DFがブロックして外。

今日はセザーの「適応」に何度も驚かされた。
3月の彼は極端に言うとドリブルで突っ掛ける「だけ」だった。
でも今は彼は持ち過ぎないし、チェイシングも効いていた。
ワンタッチ、ツータッチで叩く場面が多い。配球も的確である。
パス&ゴーで攻撃の連動も生んでいた。

ただフィニッシュがイマイチ…。

23分、FC東京のFKはゴール正面やや右。
森重真人が右足で直接狙って枠を捉えた。
しかしGK北一真がブロックして外。

FC東京は「いつでも取れそう」な雰囲気だ。
ただこの後はしばらく決定機が減ってしまう。
理由は草津の粘りに尽きる。
前線からボールを追い、

中盤は4人とも最終ラインのカバーまで戻る。
ただ「ポジションを取る」だけでなく、当たりに行っていた。
問題はこれがいつまで続くか?である。

FC東京にも「どうかな?」と思う部分があった。
最終ラインから「つなぎ過ぎる」のである。
草津が前から追って来ているのに蹴らない。
自分でいなして、つなごうとする。
相手の重心が前に寄っていたら、「裏」で勝負する方が楽に違いない。

言うまでもなく奪われたら危険だ。
ただ大熊清監督がそれを理解していないはずはない。
今年、来年以降を見据えた「こだわり」なんだろう。
それにCBが今野泰幸と森重真人ですからね。
寄せられても難なくボールを扱えていた。

40分、草津は古林将太に警告。

45分、FC東京は梶山陽平がヒールで左に落とす。
中村北斗は縦に運んで中に当てる。

田邉草民がキープして右に落とす。
羽生直剛がエリア内に走り込んで決定的だった。
ここは櫻田和樹がカバーしてナイスブロック。

47分、草津は松下裕樹に警告。
梶山陽平の抜け出しを危険なタックルで止めた。

スコアレスで前半が終了する。
普段は手厳しい瓦斯サポも、今日はブーイングがない。
無得点でも「手応え」がある内容だったんだろう。


46分、FC東京は自陣CKからのカウンター。
セザーが右サイドで松下裕樹とセカンドボールを競る。
セザーは身体を上手く入れ替えてハーフライン手前からドリブル。
草津はDF2人が必死に追走する。
セザーはエリア右まで切れ込んでシュートを狙った。
古林将太が身を挺してナイスブロック。

53分、FC東京はセザーが自陣で松下裕樹のミスパスを奪う。
セザーは切れのあるドリブルでDFを翻弄。

柳川雅樹のアプローチを外してエリア内まで切れ込んで…。
しかしセザーのトーキックは枠の左。

59分、FC東京は羽生直剛が左から右に叩く。
谷澤達也はエリア右に落とす。
セザーのシュートはニアを捉えたけどGK北一真がブロック。

60分、FC東京は今野泰幸が持ち上がって縦に当てる。
セザーが右に開いて外からオーバーラップする。
谷澤達也がエリア右に叩く。

セザーがキックフェイントでコースを空けてシュートを放った。
これも決定的だったけど田中淳がブロック。

FC東京が圧倒的な攻勢である。
セザーは突破、抜け出し、配球と獅子奮迅だった。
しかし今日はとにかくシュートが入らない。
草津DFの粘りも賞賛に値する。
エリア内に抜け出され、決定的な形を量産されていた。
それでも「最後」のところで身体を張り、ぎりぎりで耐える。

ただ試合を30分残して既にヘロヘロだった。

61分、FC東京は羽生直剛が右サイドからヒールで裏に落とす。
石川直宏が縦に抜け出して折り返す。
GK北一真は低いボールを抑えたけど小さくファンブル。
谷澤達也が詰めたけど北がブロック。
梶山陽平がこぼれ球からミドルを狙う。
こちらも草津DFがブロック。

61分、FC東京は谷澤達也に警告。


63分、草津は柳川雅樹に警告。
田邉草民がエリア内に抜け出そうとしたところを手で引っ張って止めた。

65分、FC東京のFKはゴール正面。距離が約20m。
森重真人が右足で丁寧にコースを狙った。
GK北一真の手は届かない…。しかし右ポストに弾かれる。

65分、草津は熊林親吾→小林竜樹。
65分、FC東京は田邉草民→石川直宏。

小林は左、石川は右のハーフに入った。

67分、FC東京は梶山陽平が左に展開。
中村北斗はエリア左にフィードを入れる。
谷澤達也が切り返してシュート体勢だった。
御厨貴文は手で掴んでしまう。
家本政明主審の判定はPK。

誰が蹴るかと思ったらセザーがボールから離れない。
試合中に外しまくっていたのでどうだろう?と思ったけど…。

68分、FC東京はこのFKをセザーが成功。
<FC東京 1−0 ザスパ草津>

70分、草津は松下裕樹がバックパスを蹴り損なう。
FC東京はセザーがこれを奪って切れ込む。
セザーはDFの間に切れ込んでシュート体勢。
小林竜樹がよく戻ってクリアした。

71分、FC東京は右CKを石川直宏が右足で入れる。
御厨貴文がファーへの「流れ」をクリアする。

危うくオウンゴールだったけど左ポストに弾かれた。

72分、FC東京は石川直宏が右に開く。
高橋秀人は縦に切れ込んでマイナスの折り返し。
谷澤達也がトラップから左足ミドルを狙う。
GK北一真がキープした。

75分、FC東京は中村北斗が左からスローイン。
セザーが強引に反転して左中間から右足ミドルを狙う。
枠を捉えたけどGK北一真がブロックして外。


79分、草津は萬代宏樹→リンコン。
福岡、湘南でプレーしたリンコンである。
185cmの長身で、足元のクネクネが特長。
中盤に顔を出してパスを引き出し、
「縦に切れ込む」「当てて飛び出す」プレーを連発していた。

80分、FC東京はセザー→ルーカス。
86分、ザスパ草津はアレックス→山田晃平。
草津の最終布陣がこう↓

−−−−−−リンコン−−−−−−
−−小林−−−後藤−−−山田−−
−−−−−櫻田−−松下−−−−−
−田中−−御厨−−柳川−−古林−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−-北-−−−−−−−


87分、FC東京は羽生直剛→鈴木達也。
こちらの最終布陣はこう↓

−−−−−−ルーカス−−−−−−
−−谷澤−−−鈴木−−−石川−−
−−−−−梶山−−高橋−−−−−
−中村−−今野−−森重−−徳永−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−塩田−−−−−−−


89分、FC東京は鈴木達也が前線でチェイシング。
ルーカスはセカンドボールを拾って右に叩く。

石川直宏がエリア内まで切れ込んでシュートを狙った。
枠内だったけどGK北一真がブロック。

「ウノセロ」でタイムアップ。
FC東京がスコア以上の完勝である。
公式記録を見るとシュート本数は「20対4」。
正田醤油でやった時は草津が「持たせている」感じだった。
でも今日は振り回されて、後半に足が止まった。
FC東京の急浮上は勉強になりました。

こういうサッカーって、こういう風に良くなることがあるんですね。
理由はちょっとしたディテールの積み重ねだと思う。
判断の精度、選手同士の連携がちょっとずつ上がって…。
ある段階でカチッと歯車が噛み合う。
もちろんナマモノだからこのまま機能し続ける保障はない。
ただFC東京は「代わりのパーツ」が潤沢だ。
坂田大輔や永里源気まで獲って来ていますからね…。
歯車が外れても、他のクラブより手を打ちやすい状況である。


党首的採点
FC東京

GK  1 塩田仁史 6.0 五輪代表帰りの権田はベンチ。
DF  2 徳永悠平 6.0 色んな絡み方ができる。リスク管理もしっかり。
    3 森重真人 6.0 相手が引いているからCBの攻撃参加は有効。
    6 今野泰幸 6.5 エレガント。読みと上手さでボールを取りまくる。
   14 中村北斗 5.5 アタックの工夫が乏しい。ボールを失い過ぎ。
MF  4 高橋秀人 6.0 02年図南(クラ選4強)の出世頭になるとは。
   10 梶山陽平 6.0 寄せて取れない。中盤の数的有利メイカーに。

   39 谷澤達也 6.5 シンプルなプレーが多いけど、要所に絡んでいる。
→(88分)11 鈴木達也 採点なし。
   27 田邉草民 6.0 今のサッカーに合ってる。クサビが上手かった。
→(65分)18 石川直宏 6.0 彼が終盤から出てくるのはJ2的に反則。
FW 22 羽生直剛 6.5 超高質の潤滑油。
    9 セザー 6.5 シュートの外し過ぎを減点してもなお高評価。
→(80分)48 ルーカス 採点なし。

ザスパ草津

GK 22 北一真 6.5 体格だけでなく、反応が素晴らしかった。
DF 24 古林将太 5.0 ボールも人も捕まえられず。攻撃面も期待外れ。
   27 柳川雅樹 6.0 空中戦無双。跳ね返し、潰しで貢献した。
    3 御厨貴文 5.0 セザーの反転に苦しむ。
    4 田中淳 5.5 第3CBとして潰し、カバーに身体を張る。
MF 30 松下裕樹 4.5 運動量、奮闘は◎。ただ激しさが行き過ぎた。
    6 櫻田和樹 5.0 特に序盤はミスが多く、緩急を付けられず。
   19 後藤涼 5.5 力強さ増す。球際でガツガツ出ていた。
   14 熊林親吾 5.5 ずいぶん横に大きくなったな…。

→(65分)26 小林竜樹 5.0 攻守の献身は見せたけどやや空回り。
FW  8 アレックス 5.5 強さ高さは出色。ただ今野の上手さにやられた。
→(86分)15 山田晃平 採点なし。
   18 萬代宏樹 5.5 ボールを持てない中、チェイシングと球際で真価。
→(79分)9 リンコン 採点なし。

FC東京 1−0 ザスパ草津
味の素スタジアム 20,790人