■ 第12節

J2の第12節。2勝3敗のザスパ草津がホームの正田醤油スタジアム群馬でFC東京と対戦。FC東京は2勝1敗2分け。第11節はホームでカターレ富山に1対0で勝利したが、5試合で2ゴールのみと得点力不足に悩んでいる。この両チームは今年の2月にプレシーズンマッチで対戦しており、そのときは1対1のドローに終わった。

ホームの草津は<4-2-2-2>。GK北。DF古林、御厨、有薗、永田。MF松下、櫻田、後藤、熊林。FWアレックス、ラフィーニャ。FW萬代がスタメンから外れて、MF櫻田が復帰。FWラフィーニャがフォワードに回って、FWアレックスと2トップを組む。ファジアーノ岡山戦で負傷したDF中村は欠場となったので、DF有薗がスタメン出場。

対するアウェーのFC東京は<4-2-3-1>。GK権田。DF椋原、森重、今野、阿部。MF徳永、上里、鈴木達、梶山、谷澤。FW高松。コンサドーレ札幌から加入のMF上里は2試合連続スタメン。MF梶山はトップ下。FWロベルト・セザー、MF羽生らはベンチスタートとなった。

■ FWラフィーニャが2ゴール

強風の中で行われた試合は、前半はFC東京が風上で優位に進める。MF鈴木達を中心に右サイドから積極的に攻めていくと、前半29分にMF鈴木達がペナルティエリアで仕掛けてMF松下のファールを誘いPKをゲット。MF梶山が決めてFC東京が先制する。MF梶山は今シーズン初ゴール。

しかし、再開すぐのプレーで、草津はFWアレックスが中央で粘ってボールをキープ。MF熊林を経由してFWラフィーニャがいい形でボールを受けて左足でシュート。レフティのFWラフィーニャの得意の形で同点に追いつく。草津は先制点を許した直後に同点に追いつけたのが大きかった。前半は1対1で終了する。

後半は、逆に草津が風上になって、FC東京はハイボールの処理に苦しむ。FC東京は、後半8分という早い段階で、あまり機能していなかったボランチのMF上里を下げてFWロベルト・セザーを投入。2トップに変更して圧力を加える。

しかし、草津は、後半21分に右サイドでMF後藤がキープしてDF古林のオーバーラップを引き出し、DF古林がフリーでパスを受けると、DF古林はいいコース取りで中に切れ込んでからグラウンダーのクロス。これをゴール前のFWラフィーニャが右足で合わせて2対1と逆転に成功する。FWラフィーニャは2ゴールの活躍。

ビハインドとなったFC東京は、後半30分を過ぎると、センターバックのDF森重を高い位置に上げてパワープレーを仕掛ける。最後のセットプレーではGK権田もゴール前に上がっていくという執念を見せるが、実らず。結局、草津がリードを守って、2対1で草津が逆転勝利。今シーズン3勝目を挙げて、暫定で6位に浮上。対するFC東京は2勝2敗2分け。イーブンの成績になってしまった。

■ ザスパが金星

このカードはリーグ戦では初対戦だったが、ホームの草津がFWラフィーニャの2ゴールで2対1で勝利。J2の東の横綱を相手に大金星を挙げた。

J2は、下位のチームでも策士の監督が多いので、しっかりと相手の持ち味を消してくるケースがほとんどであるが、さすがにFC東京は横綱なので、小細工なしに正攻法で戦ってくる。そのため、対戦相手も持ち味を出しやすく、この試合でも草津の良さが存分に発揮された。

草津は、MF松下、MF櫻田、MF熊林で構成する中盤と、「個の力」のあるフォワードを融合させることに苦慮しており、かみ合わせが上手くいっていなかったが、MF熊林を高い位置に置いたこと、MF櫻田をボランチで起用したこと、FWラフィーニャとFWアレックスの2トップにしたことなど、前節から変更した点がことごとく成功し、ほぼプランどおりといえるパーフェクトな試合だった。

■ サイド攻撃から決勝点

ここまで、なかなか活躍できていなかった右サイドのMF後藤が決勝ゴールの起点になった。この試合のMF後藤は、運動量も豊富で、ゴールやアシストはなかったが、攻守ともに文句の付けようのない出来だった。湘南から加入してきた右サイドバックのDF古林との連携も良くなっており、MF後藤とDF古林の右サイドが活発だった。

FWラフィーニャの2点目の崩しは「サイド攻撃のお手本」のようなシーンで、タメを作ったMF後藤、裏に走っていいクロスを入れたDF古林、中でつぶれたMF熊林、落ち着いて決めたFWラフィーニャと見事なプレーが連続したファインゴールだった。

守備陣も、ここ2試合連続で後半のロスタイムに失点して勝ち点を取り逃がしていたが、この日は最後まで集中して守り切った。前節の後半は、岡山に圧倒的に攻め込まれて、ふがいない逆転負けを喫したが、この日は多くのサポーターにも支えられてリードを守り切った。

■ FWラフィーニャが大活躍

ヒーローはフォワードで起用されたFWラフィーニャで2ゴールと大爆発。立ち上がりからキレを感じさせる動きで、FC東京の守備陣を困らせていたが、最後に交代するまで動きは落ちず、貴重な同点と値千金の逆転を奪って、この試合の主役となった。岡山戦は下がり目でプレーしたが、やはり2トップの一角でプレーした方が、彼の良さは出てくる。

FWラフィーニャは昨シーズンは34試合で8ゴールをマークしているが、ポテンシャルを考えるともっと点が獲れてもおかしくない選手で、「キレ」や「スピード」はJ2では屈指のレベルにある。この2ゴールをいいきっかけにして、コンスタントにゴールを奪ってほしいものである。同じブラジル人のFWアレックスとのコンビネーションもよくて、この2トップは爆発力のある危険なコンビである。

■ 早くも2敗目

一方、FC東京は、早くも今シーズン2敗目。ここまでの6試合は、東京Vとのダービーもあったので、味スタでの試合が4試合で、残りはフクアリ(千葉市)と、敷島(前橋市)。したがって、すべて関東近郊での試合であり、東は北海道から、西は熊本まで、全国を横断するタフなJ2では考えられないほど楽な日程になっているが、そのアドバンテージは生かせず、思うような結果を残せていない。

11節のカターレ富山(H)、12節のザスパ草津(A)の2試合は、チャンスは作れているので、それまでの試合よりは内容は良くなっているが、どのようにゴールを奪うのかという形は、あまり見えてこない。この試合はFW高松も負傷で交代し、DF森重を前線に上げるしかなくなったが、MF石川ら怪我人も多く、交代カードも有効なものが少ない。大熊監督も苦労している。

■ 流れを変えるために・・・

FC東京は、昨シーズンの中盤から、肝心のところでゴールが奪えずにドローや黒星が続いて、勝ち点を取りこぼしてきたが、今シーズンも同じような展開である。DF今野、DF森重、MF梶山、MF羽生ら主力がほとんど残留したことはチームにとっては良かったが、監督も変わっておらず、同じようなメンバーなので、同じような問題を抱えたままである。

プラスアルファを期待されたFWロベルト・セザー、FWペドロ・ジュニオールもコンディションが上がっておらず、厳しい状況である。まだ6試合が終わったところなので、焦る段階でもないが、ずっと同じような問題を抱えたままというのはいいことではない。ダイナミックな変更な時期かもしれない。


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