29日に行なわれた親善試合フランス対クロアチア戦(0―0)。59分にW杯後スタッド・ド・フランスに初めて登場したフランク・リベリ(バイエルン・ミュンヘン)は、自国のサポーターから猛烈なブーイングを浴びてピッチに入った。

 リベリといえば、代表デビューは同じスタジアム。2006年5月27日、W杯ドイツ大会強化試合のメキシコ戦だった。観客は、マルセイユで急成長を見せた23歳の新しいスターを期待を込めた大声援で迎えた。

 それから5年近く。バイエルン・ミュンヘンに移籍して、正真正銘のスタープレーヤーにのし上がったまではよかったが、その後は未成年買春疑惑で取り調べを受けたり、W杯に入ってからは“グルキュフいじめ”や練習ボイコットの首謀者とされるなど、すっかり悪役になってしまった。

 クロアチア戦の試合後、レキップ紙に「ブーイングを受けるのは覚悟していた」というリベリ。しかし「ピッチに入った後の観客の反応には満足している。サポーターが後ろについていてくれるのを感じることができた。代表にデビューしたときのことを思い出したよ」と語っており、初心にかえってサポーターの心をあらためてつかめた手応えを感じたようだ。

 W杯での失態は「自分にとっては過去」というリベリにとって「今夜は新しい一歩」。先日のルクセンブルクでの代表復帰戦につづき、今度はフランスのサポーターの前でプレーするという“通過儀礼”を終えた。W杯後の苦難の9ヶ月をようやく乗り越え、精神的にひと回り成長したリベリのこれからの活躍が期待される。