リーマンショック以降の不況のあおりを受け、人員削減が進んだ。その結果、1人当たりの仕事量は増え、多くのビジネスパーソンが「時間がない」と嘆いている。そんななか、『○時間熟睡法』や『朝○時起きで、うまくいく』といった“短時間睡眠本” や“朝活本”、そしてセロトニンを論拠とした、“脳とストレス本”などがベストセラーとなっている。

確かに、もはや睡眠時間を削るくらいしか自分の時間を持てないのは事実。だけど、人間、そうそう睡眠時間を削ってしまって、生活に支障は出ないのだろうか?

12月10日に発売された、『あなたの脳が9割変わる! 超「朝活」法』著者で、脳科学、特に前頭前野の構造・機能に関する世界的権威の久保田競博士(京都大学名誉教授)と、テレビ番組で「脳科学おばあちゃん」として紹介された、妻・カヨ子氏に聞いてみた。(聞き手/フリーランスライター 阿蘭ヒサコ 撮影/堀内慎祐)



――競先生は、前頭前野の研究をされる前は、睡眠と脳の関係についてご研究されていたんですよね。

 そうです。10年くらいやってました。1960年代には、あるテレビ局からの依頼で「断眠実験」をしたこともあります。当時美大生だったH・Mくんに協力してもらって何時間起きていられるのか、を記録するのです。2日くらいは自力でも起きていられるのですが、3日目以降になると、自分の力だけでは起きていられなかったですね。結局「101時間8分30秒」の断眠記録となりました。

――丸5日弱! すごいですね。それだけ起きていると人間はどうなるんでしょうか?

 3日目あたりから、「東京タワーに人が上がっている」などと言い出しました。幻覚が見えたのでしょう。このあたりから精神状態がおかしくなります。そして食欲は増し、体重は3kg増加しました。H・Mくんには辛い思いをさせてしまいました。実際、断眠を拷問の一種として利用していた国もあったようです。

 でも、この実験は、逆に言うと、人間がいかに日々の睡眠で、健康な心身を保っているか、ということを証明したことにもなりました。

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