ナビスコカップについて、以前から思うところがあるので。

■現状の問題

 こんな感じだと思っている。

(1)動員が低い
(2)中継チャンネルが限定的
(3)レギュレーションが不自然 
(4)カラーが不透明

 このうち(1)については言うまでもない。Jリーグの半分以下。例えば広島は8月28日の山形戦で12,393人の動員があったが、9月1日(水)のナビスコカップ準々決勝第1戦G大阪戦は6,731人まで落ち込んだ。カードとしてはG大阪相手のほうが良いはずだが、実際は山形戦に来たうち6,000人あまりが観戦を見合わせていると推察される。もちろん、ナビスコカップのほうは平日開催だということではある。実際8月18日(水)の大宮戦では9,945人と、やはり落ち込んでいる。ただ、落ち込みの幅はよりナビスコカップのほうが激しい。 

 顧客層がファミリー中心になっているが、それゆえ平日の集客は厳しい。プロ野球と違いロースコアゲームであるため、遅れた10分の間に決勝点が入るということもありえる。それに、19時開始ということは18時には会社を出なければならず、なかなか難しい。

 しかし根本的には、試合の価値そのものが低いということに尽きるだろう。価値のある試合なら、仕事を切り上げてでも見に来るはずだ。「それだけの価値を提供できていない」という事実に謙虚になるべきと思う。

 (2)についてはナビスコカップに限ったことではないが、スカパー! さんが独占的に放映していることで、そもそもナビスコカップに触れる機会が著しく少ない。もちろんこのご時世に中継をしてくれること自体は感謝の言葉しかないけれども。

 ちなみにスカパー! さんの話をすると「もっと地上波で」という流れになりやすいが、天皇杯決勝の視聴率は2001年を最後に10%に達したことがなく、2010年1月1日の試合は4.5%だったという事実は覚えておく必要があるだろう。

 (3)について、これはワールドカップイヤーということもあるが、僕の非サカヲタ友人も「いつやってるのかよく分からない」という意見だった。3月から予選リーグが始まり、2週間置きぐらいに試合があり、6月・7月・8月と休みで9月に決勝トーナメントだ。僕のようなサカヲタですら、「決勝トーナメントの相手はどこだっけ」とJ公式サイトを調べるほど。冗長すぎる試合日程が、コンテンツの魅力を落としているように思う。

 そして(4)について。一般層にはカップ戦とリーグ戦の区別が付かない。カップは一発勝負なのに、「予選リーグ」というものが挟まるため、Jリーグとどこで区別すれば良いのかわかりにくい。

■改善案


 上記の問題点のうち、(1)と(2)はどうにもならない。日程問題をすぐに解決することも、大会の価値をすぐに高めることも、中継局をすぐに増やすことも、少し考えれば現実的でないことはわかるだろう。

 結局、すぐに手を付けられるのは(3)と(4)ということになる。この2つを解決するための案は、以下のとおり。

<1>短期集中開催にする(ホームアンドアウエー方式を捨てる) 
<2>関東で開催する 
<3>毎日開催とする 
<4>ベストメンバー規定を適用しない 
<5>A代表を参加させる 

 まず<1>については1カ月程度、短期間で予選から決勝まで終えるようにする。ワールドカップと同じ方式で、参加チーム18チームの一発勝負で予選をやる。ホームアンドアウエー方式は採用しない。収益およびスタジアムの使用料は折半。ホームアンドアウエー方式を捨てることでクラブへの収入が少なくなるだろうが、現状の方式ではすでに黒はほとんど少ない。というか赤もありえる。そこにこだわる必要性が高いとは思えない。

 <2>と<3>。関東で集中開催する。予選リーグは、互い違いに毎日開催。移動費が無くなる代わりに選手の宿泊費が掛かるが、そこはJリーグが一部負担する。というか全部出してください(笑)。

 関東で集中開催することのメリットは、「そこら辺で何かやってる」感をずっと出せること。今日は西が丘で、明日は駒沢で、味スタで、柏の葉で、三ツ沢で、フクアリで、夢の島で、横浜国際で、国立で、そういう風に資源集中することでお祭り感を出す。

 名称も「ヤマザキナビスコカップ」ではなく「ヤマザキナビスコ フットボールフェスティバル」とか何とかに変えて、祝祭感を出す。「1カ月間、祭りがやってますよ」とあおれば、一定の層を惹きつけることは可能かと思う。フェスっすよフェス。乱立気味ですが。

 <4>、これがある意味骨子。タイトな日程で連戦するのだから、ターンオーバーは不可欠。よってベストメンバー規定は適用しない。リーグ戦に関しては存置してもよいが、ナビスコに対しては「ニューヒーローを発掘する」という名目を強く打ち出す。

 実際、10代後半から20代前半の選手は、わずかの試合経験で驚くほど成長するもの。タイトなスケジュールかつ一発勝負の経験を積めば、1カ月で飛躍的に伸びる選手も出てこよう。

 <5>やはり「日本代表が出ている」ということはヒキになる。関東圏ならば、横浜国際や埼玉スタジアムを満員にする動員力があるわけで。

 「代表が出るのならば」ということでスポンサーが付く可能性もあるし、代表の試合のみ中継枠を割かれる可能性もある(そこは交渉次第だろうが)。もちろんこれは「ゲスト枠」のようなものだから、準々決勝からの登場として最大3試合にするなど。招集された選手は基本的に代表優先、とする。


■総括


 以上、言うだけならタダの意見でした。まあこの程度のこと、Jリーグの方が考えていないとも思えませんが。

 んで、根本的には解決しません。あくまでレギュレーションの不自然さとカラーの不透明さを解消し、ナビスコカップの価値を高めるであろうという方法論を提示したまで。魔法の杖などない、ということは、ちょっと考えればすぐわかります。メガリッチがポンとポケットマネーを出してチームを買収する国とは、事情が大きく異なるわけですから。

 まあ結論は、手を付けられるところから付けましょうね、という平凡なものでした。

【関連記事】
【SOCCERZINE】最高の興行――ハラヒロミジャパン、100点満点
【SOCCERZINE】「ファン」はどこにいるのか?
【SOCCERZINE】Jプレミアリーグ構想に思うこと
【SOCCERZINE】「2010年W杯から学ぶ5つのこと」に日本の記事
【SOCCERZINE】武者震いの朝