ドジャースの黒田博樹投手がメジャーの野球について、先輩の野茂英雄にアドバイスを受けたと3月16日付でロサンゼルス・タイムズが報じた。

 今年でメジャー3年目となる黒田だが、中4日の登板間隔、使用球の違いなど、まだ慣れないところがあり、春季キャンプの前に、元ドジャースで活躍した野茂に電話をいれた。

 野茂とは面識がなかったが、黒田が所属していた広島東洋カープの春季キャンプで、野茂が特別コーチをすると聞いたのがきっかけだった。電話での会話は決して長くはなかったが、勉強になったと黒田はいう。

 野茂は登板までの調整の仕方や、長いシーズンのあいだ、体調を維持するコツをアドバイスしたという。おそらく、もっとも有益だったのは、フォークボールの投げ方に関するものだった。

 野茂の決め球だったフォークは、黒田の決め球でもあったが、メジャーに来てからは、ボールが滑りやすいため、以前ほど有効ではなくなっていた。

「野茂さんのことは尊敬しています。驚いたのは、野茂さんがぼくを見ていてくれたことです。投球フォームのどこを変えたらよいかというアドバイスをもらえたほど、野茂さんはぼくの投球をよく知っていました」

 昨年は、1年目に学んだことをもとに、実力を発揮しようという心構えで臨んだが、脇腹を痛めたり、頭部に打球を受けて、2度の長い故障者リスト入りで思うようなシーズンを過ごせなかった。

 今オフ、黒田は日本で針治療を受けるなど、万全の体制でキャンプに取り組んでいる。「後悔したくないので、最後の年のつもりでやります。シーズンを通して健康でプレーしたいですね」

 今年は3年契約の最終年だが、シーズン後の去就についてはなにも決めていない。引退するか、日本に戻ってプレーするか、メジャーでプレーする道を選ぶか。もしもメジャーに残るとしたら、ドジャースでプレーしたいと黒田はいう。

「このチームが好きなんです。ファンも球団も応援してくれますし、このチームに入ることができて幸運だと思っています」

 リック・ハニーカット投手コーチは、今年は黒田の望むような1年になるだろうと見ている。「1年目はこっちに適応するための期間だった。メジャーで投げることがどんなものか、だいたいはわかっただろうから、あとは健康を維持できれば問題はない」