VVVの本田圭佑が23日のADO戦で2ゴールをあげた。これで今季公式戦通算7得点目ということで、数字だけ見れば素晴らしい成績だ。ただし、これが彼の評価に直結するかといえば、そうとも言えない。

チームや選手を評価するときに、僕は常に、世界基準の中でどうなのかというのを意識している。「世界の中での日本」というように考えれば、おのずと評価は辛くなってくるし、それは一選手に対しても同じ。どのレベルのチームでプレーして、どの相手と戦って、どう活躍したか。所属リーグや相手チームの質によって、評価は変わってくる。

オランダリーグは、アヤックスやPSV、AZ、ユトレヒトなど一部チームを除いてまだまだレベルが低い。そういう意味では、本田はVVVの中で非常によくがんばっているけど、リーグそのものを考えたときに、彼に対する評価を錯覚してはいけないと思う。そしてそれは、彼自身にも言えることだ。

つまり、大きなことを言うのであれば、強い相手に対してもっと結果を出して、もっと地位を確立してからじゃないとダメだ。日本代表の中で、彼は強気な発言を繰り返し、マスコミもそれを大きく取り上げる。代表でもVVVと同じスタンスを貫こうとしているように見えるのだけど、僕から言わせれば順番が違う。

何かを言いたいなら、まず、代表チームの中で結果を出してからじゃないと。結果を出してないのだから、物を言う権利なんて持っていないんだ。彼のコメントは、ベンチスタートの選手が言うコメントではないね。

オランダ遠征などの一連の報道では、岡田監督が本田を生かせていない、というような見解もあった。でも、監督の使い方、戦術どうこうの話ではない。出場時間は与えてもらっているんだから、その時間内でチームのやり方に順応し、なおかつ結果を残す、人との違いを見せる。それが代表選手というものじゃないのかな。
本田には期待しているんだよ。だからあえて言いたいね。でかいことを言うのはまだ早い。(了)
 

セルジオ越後 (サッカー解説者) 

18歳でサンパウロの名門クラブ「コリンチャンス」とプロ契約。ブラジル代表候補にも選ばれる。1972年来日。藤和(とうわ)不動産サッカー部(現:湘南ベルマーレ)でゲームメーカーとして貢献。魔術師のようなテクニックと戦術眼で日本のサッカーファンを魅了。1978年より(財)日本サッカー協会公認「さわやかサッカー教室」(現在:アクエリアスサッカークリニック)認定指導員として全国各地青少年のサッカー指導。現在までに1000回以上の教室で延べ60万人以上の 人々にサッカーの魅力を伝えてきた。辛辣で辛口な内容のユニークな話しぶり にファンも多く、各地の講演活動も好評。現在は日光アイスバックス シニアディレクターとしても精力的に活動中

●主な活動 テレビ朝日:サッカー日本代表戦解説出演「やべっちF.C.」「Get Sports」  日本テレビ:「ズームイン!!SUPER」出演中 日刊スポーツ:「ちゃんとサッカーしなさい」連載中 週刊サッカーダイジェスト:「天国と地獄」毎週火曜日発売 連 載中 週刊プレイボーイ:「一蹴両断!」連載中 モバイルサイト FOOTBALL@NIPPON:「越後録」連載中