今年のWBCキューバ代表で、第二ラウンドで日本戦に先発した豪速球投手アロルディス・チャップマンが、遠征先のオランダで亡命した(7月2日付ESPNなど)。

 亡命を最初に報じたスペイン語のウェブサイトによると、チャップマンはロッテルダムのホテルから姿を消したが、ヨーロッパにとどまっており「ホテルを出るのは簡単だった。車でホテルを離れた。メジャーリーグのチームと契約することが目的」と述べているという。

 2002年にメキシコ遠征中に亡命し、ヤンキースと4年3200万ドル(約32億円)で契約したホセ・コントレラス投手(現ホワイトソックス)以来の大物の亡命ということで、球界に衝撃が広がっている。予想される契約額は3000万ドルから6000万ドル(約30〜60億円)ともいわれており、ヤンキースのマーク・ニューマン副社長は「関心がある」とESPNに述べた。

 WBCでは6⅓回を投げて防御率5.68とふるわなかったが、最高で163kmという速球が武器。ただし、それ以外の球種は平均的といわれていて、マイナーからのスタートになるだろうと見られている。

 また、WBCで主審の判定に不満をあらわにし、マウンド上での未熟さが指摘されているが、カメラに向かっておもしろい顔をしたり、報道陣には常に笑顔を見せるなど、メジャーでスターになれる素質はある。

 チャップマンはスペイン語ウェブサイトに対して「とても幸せ。亡命は自分で決めた。最高レベルの野球で自分を試したい」と述べているという。
  
 まだ21歳と若いことや、松坂大輔のときのように交渉権が一球団に限られていないことから、激しい争奪戦が予想される。