地上デジタル放送やエコポイントの導入などで液晶テレビの売れ行きが好調だ。
好調の要因には、海外家電メーカーの参入による実売価格の低下もあるという。消費者にとっては喜ばしいことだが、メーカーにとっては深刻な問題でもある。国内の家電メーカーの中には、液晶パネルの急激な下落や新工場への投資からテレビ事業が赤字となる企業もでてきている

とはいえ、普及が加速する液晶テレビにかわる次世代テレビの開発を積極的に進めている企業も多い。
そうした中、すでに次世代テレビの製品化に成功した会社もでてきた。

今回は、現在の液晶テレビに置き換わる製品として注目されはじめたLEDテレビ、曲がるプラズマテレビにフォーカスをあててみよう。


■目の錯覚でクッキリした黒色を再現 - LEDテレビ
今や薄型テレビといえば、液晶テレビが主流を占めているが、そんな液晶テレビに大きな変化が起きようとしている。そもそも液晶テレビに使われている液晶は、固体と液体の中間的な物質で、電気を通して状態を変化させ映像を映し出している。プラズマとは違って液晶自体は発光しないため、液晶のうしろから小型の蛍光灯(冷陰極蛍光ランプ)を使って光を当てる必要がある。

LEDテレビは、そんな冷陰極蛍光ランプの代わりに発光ダイオード(LED)を使用する。LEDは、冷陰極蛍光ランプに比べて自然に近い発色が可能であり、黒もクッキリと表現することができる。わかりづらいので、もう少し詳しく説明しよう。

冷陰極蛍光ランプを使用する液晶テレビは、バックライトが常時点灯するので、黒い部分が白っぽくなる「黒浮き」と呼ばれる現象が起こる。プラズマテレビのようにハッキリとした黒色を表現することが難しいのは、そのためだ。

それに対してLEDをバックライトに使う液晶テレビは、人間の目の錯覚をうまく利用しているのだ。
人間の目は、強く光っている部分があると、その近くで光っている部分を暗く感じる性質がある。この人間の目の錯覚をうまく利用し、画面の一部分だけバックライトを消すことで「黒浮き」を感じずにプラズマテレビに近いクッキリとした黒色を表現することができるわけだ。


■「すだれ」の構造がそのままテレビに - 曲がるプラズマテレビ
「プラズマの父」と呼ばれている世界が認める日本の技術者がいる。篠田プラズマの社長 篠田傳氏だ。
篠田氏は、富士通で世界初のフルカラーのプラズマを開発したが、景気の悪化によりプラズマ・ディスプレイからの撤退を余儀なくされる。それでもプラズマに掛ける夢は途絶えず、同じ夢を持った仲間と共に富士通から独立し、ベンチャー企業 篠田プラズマをおこした。

従来の薄型ディスプレイをそのまま大型化すると消費電力だけでなく重さも増し、運搬や設置、運用の面など、さまざまなデメリットが生まれていまう。

そこで篠田プラズマが開発した新しいプラズマが、曲がるプラズマディスプレイだ。
同社が開発した次世代超大画面ディスプレイ技術「プラズマチューブアレイ」は、自発光の美しい映像で定評のあるプラズマの発光原理を応用しながら、フィルム型で超軽量な大画面を形成できる新技術だ。

「プラズマチューブアレイ」では、細長いガラス管の中に放電が起こると発光する蛍光体を封入した直径1mmのプラズマチューブを、赤・緑・青の3種類用意して1つの画素を表現する。このチューブを並べてフィルム状の電極で挟み込み、電圧を掛け、発光させているわけだ。

プラズマテレビを窓や軒先に垂らす「すだれ」にたとえれば、すだれの棒の部分がちょうどプラズマチューブとなっているわけだ。
同社が2009年5月に発表した「プラズマチューブアレイ」のディスプレイは幅3m、高さ2mで、美しい曲線を描いた形に仕上がっている。

参考:
篠田プラズマ株式会社


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