9組中6組が決勝戦初出場、2年連続での敗者復活枠から最終決戦へ進むコンビの台頭、最終決戦2番目に登場したコンビが優勝などなど、異例続きだった昨年のM-1グランプリ。異例のM-1が終わった後は、異例のM-1“後”が待っていた。

 14日放送の「はねるのトびら」(フジテレビ系)ではおなじみのコーナー「回転SUSHI」の様子がいつもと違った。M-1で惨敗したキングコング(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)に対し、他のレギュラー陣が異様なまでに気を使っているのだ。誰かがうっかりエムワンだのノンスタイルだの言おうものなら、周囲から大げさなまでにツッコミが入り、言った当人は謝罪する。もちろん、誰もが真剣に気を使っているわけではない。当然ネタだ。

 映画の告知にやって来た女優の態度も同様で、みなが一丸となってキンコンをいじり倒す。いつもならアハハオホホのゲーム+告知に終始するコーナーだが、キンコンへのM-1いじりをゲストにまで徹底させることで通常とは違ったベクトルの笑いが生まれていた。

 そして15日深夜に放送された「カトパン」(フジテレビ系)。ゲストとして出演したザ・パンチ(よしもとヨクリエイティブ・エージェンシー)にもM-1いじりが待っていた。即座にノーパンチ松尾が『M-1の話はしないでください!』と声をあらげる。翌日のゲストがNON STYLE(よしもとクリエイティブ・エージェンシー)だったこともあり、『僕らはノンスタイルのフリですか!』と自虐的に笑いを誘っていた。

 タイトルを獲ったはずのノンスタの2009年の出足がいまひとつだということについては拙コラムで言及した。一方、他のファイナリストに対しての注目は着実に高まっている。最終決戦組の目覚しい活躍は予想できたことであるし、注目されてしかるべきとも思うのだが、8位、9位のキンコン、パンチのいじられっぷりを見ると、ひとつの危惧が生まれる。

 M-1でスベったことが笑いにつながるのか。それは方法の一つではあると思うが、優勝できなくてもおいしいといった現状は大会に対する熱を奪うことになりはしないだろうか。

 などと熱く語ったところで、ふと思い出した。詳細は失念してしまったが、POISN GIRL BAND(吉本興業)が2006年、2007年と2年連続M-1で9位を獲ったことにより、決勝しか見ない人にとっては自分たちが日本一つまらない漫才師のように思われている、という旨の発言をしていたのだ。そうだった、M-1には毎年何千組もの漫才師がエントリーしているのだ。その中の8位、9位なのだから大したものではないか。

 先述のカトパンに、19日放送の「はなまるマーケット」(TBS系)、そして25日放送予定の「行列のできる法律相談所」(日本テレビ系)と、ノンスタの露出もぼちぼち増えてきた。M-1は優勝できない方がおいしい、などと揶揄されぬよう、今後の彼らの活躍を心から願う。

(編集部:三浦ヨーコ)


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