狩野健太:まだスタートライン

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 狩野健太の2008年は、前後半でまったく対照的なものになった。

 シーズン前の2月に右ヒザのじん帯を損傷。シーズン前の出だしでつまずいたうえ、復帰後の3月下旬には左足の中足骨骨折で全治2か月の診断。治療とリハビリに費やしたシーズン前半は、プロ入り3年目の狩野にとって重い経験になった。

 ところが、シーズン後半に復帰後、狩野は一躍チームの中核へと浮上する。9月にスタメン入りしてからは、セットプレーを中心にゴールに絡み、折からJ2降格の危機にあった横浜F・マリノスを窮地から救う原動力となった。さらに、08年末の天皇杯でもベスト4入りの原動力となり、現在は日本代表の岡田監督も大いに注目しているという。

 相次ぐ故障と降格の危機。そのピンチをしのぎ、むしろチャンスへと変えていった狩野。いま、Jリーグでもひときわ輝いている新鋭MFに、08年のこと、そして09年の展望を聞いた。

――08年シーズンは、個人的にもチームとしても激動の1年だったと思いますが、どう振り返っていますか?

狩野健太(以下・狩野):まずケガがあって、しかも復帰してすぐにまた別の場所をケガして出遅れた。とても厳しいシーズンだったですね。

――大きな故障は初めて?

狩野:ですね。そのぶん、とくに最初のときは、早く復帰したいという気持ちちょっと焦りが強かったかなと。

――後半戦で復帰するまで、焦りは続きました?

狩野:ま、焦っても仕方がない状態だったので、2度目をやってからはじっくりという感じでした。

――後半戦は、チーム状態が苦しいなかで、活躍が光りましたね?

狩野:いや、自分としては、それほど大きな働きができたとは思わないです。むしろ、出遅れたぶんを少しでもカバーしたいという…。若い選手も多くなってますし、ボクも3年目でしたから。

――スタメンに出れるようになったのは、遅いくらい?

狩野:そうですね。シーズンのスタートからそうなりたいという思いでやっていたので、不本意なシーズンだったと思ってます。

――降格のピンチにチームが追い込まれたというのは初の経験だったと思いますが、その点のプレッシャーはありました?

狩野:もちろん、以前より周囲の目が厳しくなったという部分はありました。ただ、まずは自分自身が良いプレーをすることが大事だと思うので、そこに集中するよう意識しましたね。

――狩野選手にとって理想的なプレーヤー像はあるのでしょうか?

狩野:具体的な選手とかはいませんけど、もっと攻撃力の高い選手になりたいですね。ゴール前に切り込んだり、飛び込んでゴールを決めたり。

――その点では、シーズン終盤はそういうゴールシーンもあったと思いますが。

狩野:ただ、まだまだ感覚的にプレーしていて、狙い通りいったというゴールシーンではなかったりします。そのあたりのセンス、読みみたいなものを、もっと磨いて“狙い通り”のゴールを増やしたいですね。ゴール前の動きの精度とか、もっと上げていけると思いますし。

――あとから自分のプレーなどは映像見たりするのですか?

狩野:全部ではないですが、見ますね。とくにゴールに絡むようなシーンは、自分の感覚と、じっさいのプレーとのギャップとか、感覚の違いを見ておきたいと思いますね。

――セットプレーは大きな持ち味になってますね。

狩野:そこは蹴らせてもらっていますし、やっぱりマリノスは高さのある選手がいますから、ボクのキックだけではないです。

――スタメンに定着するようになって、J1でやれるという手ごたえは大きいですか?

狩野:まだ、ボク自身があまり強豪チームと戦えなかったというか。ガンバと対戦しなかったですし、良い状態のレッズともちゃんとやれていないですから、手ごたえというのは、まだまだで、これからだと思ってます。

――でも、シーズン終盤のプレーは自信になったのでは?

狩野:そうですね。あの状態が続けば、ある程度は戦えるんじゃないかという気持ちは持ちました。

――09年の目標を教えてください。

狩野:まずは身体をしっかりメンテナンスして、ケガをしないというのが第一ですね。08年はそれで痛い目にあったので、同じことは繰り返したくないです。

――とくに数字みたいなものは?

狩野:あまり立てないですね、そういう目標は。ケガをせず、試合に出て、良いパフォーマンスをして、チームが勝つ。あえていえば、それが目標です。

――日本代表もチャンスが出てきていると思いますが。

狩野:いや、まだ難しいですよ。まずチームでいいプレーを続けることですよね。ただ、活躍している選手は声をかけてくれる印象があるので、そういうチャンスが出てくるように頑張りたいですね。

(取材・構成/livedoor スポーツ)

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