石井慧は「新型うつ病」? おちゃらけ発言と関係あるのか
2008年11月10日20時54分 / 提供:J-CASTニュース
柔道・石井慧選手が週刊現代で、「うつ」を患っていることを告白している。しかし、それにも関わらず、おちゃらけ発言を繰り返すのはなぜか。仕事中にだけうつで、それ以外では元気という、若い世代に多い「新型うつ病」なのか。
「全日本合宿で罵倒されストレス」
「自分はなぜ、うつ病・強迫神経症になったか」
こんな見出しで、週刊現代2008年11月22日号に、五輪柔道金メダリスト、石井慧選手(21)のインタビュー記事が出た。そこで石井選手は、ふだんメディアの前で繰り出すやんちゃぶりとは「別の顔」を見せ、自らが向き合ってきたという「病気」を語っている。
告白によると、病み始めたというのが数年前から。「発作」が出るようになり、先輩から病院へ行くよう言われて通院を始めた。そこで「強迫神経症」と診断され、北京五輪前には、抗うつ剤を飲むようになった。
それも、原因としたのが、国士舘大学に入学してから柔道の人間関係によるストレス。全日本合宿で罵倒されたり、尊敬する先輩の悪口を言われたりして、「自分が住む世界ではない」と思うようになったという。
石井選手の監修協力で11月13日に光文社から出版される「石井訓」でも、背表紙に「ウツでも金」との言葉が記されている。
確かに、石井選手は、五輪後に金メダルを捨てたいと発言したり、記者会見でうつむいたり、うつらしき言動もないわけではない。11月6日には、日本での講演を終えたダライ・ラマ14世に、質問コーナーで一般人に交じって今後の身の振り方についての「人生相談」までしている。
「初耳なことで意外」
関係者が明かす少年時代の石井選手は、無口でおとなしく人見知りの性格だった。うつになってしまったのは、こうした性格が柔道界に合わなかったためなのか。
高校1年まで石井選手が柔道を習った修道館クラブ(大阪)の上田順治会長は、こう話す。「週刊誌の見出しを見て、オヤッと思いました。初耳なことで意外でして、本当かなとも思います。周囲からの期待が大きいと、そうなるのかもしれませんが」。大阪で2008年11月3日に開かれ、格闘技転向宣言もした祝勝会では、ニコニコしていてそんな面影はなかったという。
若い世代のうつといえば、最近増えているのが「新型うつ病」。J-CASTニュースが08年8月10日付記事で報じたように、仕事中だけうつで、帰宅後や休日は普段通り活発に活動するのが特徴だ。自分を責めるのではなく、身近な人間や社会に対して攻撃的な態度になり、休職したとしても会社や同僚にかける迷惑などあまり感じない、という。石井選手のうつ告白が「おちゃらけ」ではないというのなら、柔道界を嫌い、メディアには「別の顔」を見せるところがその可能性を示すのだろうか。
石井選手のメンタルコーチを五輪まで2年半務めたというピークパフォーマンス代表の平本あきおさんは、その「うつ」の真相について次のように話す。
「本気で世界一を目指してきた選手が我々の想像超える大変なプレッシャーと闘ってきたことは事実です。時に精神面で不安定になることは珍しい話ではありません。昨年の夏〜秋にかけてかなり不安定になった時期がありました。具体的な症状はいえませんが、その時期に強迫神経症を克服するカウンセリングをしました。専門的なプロセスになるので、詳しくは説明できませんが、彼の根深いところで、『完璧じゃないと勝てない』という信念が見つかりました。その信念のおかげで練習熱心なのはよいのですが、五輪前にしてはプレッシャーをかけすぎるということで、カウンセリングで本人の希望もあり、『自然体なら勝てる』という信念をインストールする手法を使いました。その後も五輪をはじめ様々なプレッシャーが本人にかかっていったということは否めないでしょう。五輪に向け症状を克服するということよりも、勝ちたいという彼の思いをかなえるということに焦点をあてていきました。その例が、尊敬している上杉謙信に乗り移るイメージトレーニングであったりしたのです。また、そもそも『うつや強迫神経症を患っているにもかかわらず優勝できた』という捉え方は誤りです。『勝つためにうつや強迫神経症になるほど自分にプレッシャーをかけた』というのが私の認識です。とはいえ、追い込みすぎるとまた勝てなくなるので、そのバランスをとろうとしたのが私の役割だったのでしょう。これからも相当高いプレシャーの中で闘うことになるでしょう。自分を追い込むことで、大きなものを乗り越えていくというのが彼のスタイルだと思います。プレッシャーに潰されない範囲で、いかにプレッシャーを大きな力に変えていけるかが今後の課題となるでしょう」
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