14日、柔道男子100キロ級にて、鈴木桂治が一回戦敗退、自身も引退を示唆するなど、誰も予想だにしなかった衝撃的な結末となった。

結果、日本柔道男子の金メダルは、(15日現在)内柴正人の1つだけとなり、そのメダル獲得数は史上最低となった北京五輪。女子は、谷本歩実と上野雅恵が金メダル、谷亮子と中村美里銅が銅メダルを獲得し、日本のお家芸は、もはや女子だけのものとなってしまったようだ。

日本は伝統ある“投げで一本を取る”柔道にこだわり、その一方で、欧州を始めとする世界では、パワーで押し込み、「指導」のポイントを取って勝つJUDOが主流。欧州では、柔道と呼ばずに「ジャケットレスリング」と呼ぶことすらあるという。競技人口でも日本の20万人に対し、フランスは60万人を超えていると言われ、実力、普及と今や完全に世界から遅れを取っているのが現状だ。

これまで日本柔道界を牽引してきた、シドニー五輪金メダリスト・井上康生は、自身がコメンテーターを務めるフジテレビ系列「北京オリンピックTODAY」に出演すると、“日本の柔道”と“世界のJUDO”のギャップについて「(外国人は)変則的なJUDOを当たり前のようにしてくる。ルールの部分でも(日本は)なかなか受け入れられない部分もいっぱいあると思いますが、これから日本柔道が世界で勝っていくためには、それに対応するしっかりとした分析が大事になってくる」と語った。

また、今後の対策について聞かれると「しっかりと世界の流れを見ないといけない。その年、その年において新しい技が生まれたり、色んな競技の技術が取り入れられてくる」と話し、北京五輪後に「効果」が廃止される方向にあるというルールの問題に対しても「年々、細かい部分でルールも変わってくるので、しっかりと分析してやらないといけない」と日本柔道界復権へ、意識改革を促した。