「ヤフオク」に出品されるエコバッグには、3万円台の値段がつくものも多い

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   有名ブランド製の「エコバック」の人気が急騰している。なかでも、「I'm Not A Plastic Bag」(わたしはポリ袋ではない)と使い捨てのレジ袋の削減を訴えたアニヤ・ハインドマーチ製は超人気で、このエコバッグを求めて客が全国の百貨店に殺到し、警察が出動する騒ぎにもなった。このほか、ベネトンやエルメスなど高級ブランドも「エコバック」に続々参入している。

   2007年7月14日、東京・銀座にある「アニヤ・ハインドマーチ」の直営店では、開店時間の午前11時前に4000〜5000人の購入希望者が殺到、警察が出動する騒ぎになった。8月2日付の女性セブンは「マドンナご愛用2000円バッグ行列記」と伝えている。7月18日には全国の12カ所の百貨店でアニヤ製のエコバッグを求めて、若者や中高年らが徹夜で列をなした。

しゃれていて「エコバッグらしくないのがいい」

   「悪天候の中、長時間ならんだお客様と近隣の店舗関係者の方々等、数多くの皆様に多大なるご迷惑とご不便をかけたことを、心よりお詫び申し上げます」――「I'm Not A Plastic Bag」の銀座直営店での販売に際してアニヤ・ハインドマーチジャパンは7月14日、ホームページでこのような「お客様へのお詫び」を掲載した。アニヤ側の予想をはるかに上回る人が押し寄せて、銀座店の周辺は一時騒然となった。

   直営の銀座店だけではない。同日に先行販売した伊勢丹新宿店も、「発売当日には大変な混雑が予想されることから、その対応に関して準備してきたが、予想を上回るお客様のご来店に対して十分な対応ができず、長時間並んだお客様が多数発生してしまいました」とお詫びした。

   18日、全国12カ所の百貨店でも長蛇の列をつくった。銀座・松屋は500個の販売を抽選で行うことにしたが、その抽選券に約6000人が並んだという。

   そもそもエコバッグというと、ナイロン製や紙製のトートバッグ風のものが多い。大手スーパーやコーヒー店が、1000円弱で販売しているものもある。ふだんスーパーやコンビニエンスストアでの買い物に使う「買い物袋」なので、おしゃれよりも軽くて折り畳めるなどの機能性が重視されるのが常だ。

   ところが、小さなリボンがトレードマークの「I'm Not A Plastic Bag」のエコバッグは綿でできていて、デザインも洒落ている。若いOLは「エコバッグらしくないのがいい」という。

   さらには、このエコバッグは超セレブが出席することで有名な「ヴァニティー・フェア」主催のアカデミー賞アフター・ショー・パーティーの「おみやげ用」のバッグに採用され、「セレブご愛用」として人気が上がった。ビヨンセやヴィクトリア・ベッカム、ナオミ・キャンベル、ジェニファー・ロペス、リヴ・タイラーも使用しているという。
   セレブも使う高級感とおしゃれ感、数量限定の希少価値が女性の心をくすぐったようだ。

2100円のバッグに6万2000円の値段が付く

   「I'm Not A Plastic Bag」は7月19日午前10時、アニヤ・ハインドマーチジャパンのHPからインターネットでも販売された。アニヤ社の親会社であるレナウンの広報担当者は、「発売開始から15分後にはサーバーに過度な負荷がかかってきて20分にはアクセスを拒否。その後もシステムが復旧できず、完売の告知ができたのが54分後でした」と説明。約20分で完売したとみている。

   伊勢丹新宿店や玉川高島屋など全国12カ所の百貨店での販売もすでに完売。数量限定なので、国内ではネットオークションなどにかからない限り手に入らない。そのオークションサイトでは、19日のヤフーオークションで2100円のバッグに6万2000円の値段が付いて落札された。海外のネットオークションでは、定価の10倍以上の値が付いたとの報道もある。

   たしかにレジ袋を有料化するスーパーが増えてきているし、「レジ袋、いりますか」と尋ねられるケースが増えてきた。6月は環境月間だったが、環境省の調査では消費者の6割が「マイバッグ」を持って買い物に行くことが明らかになっている。レジ袋の有料化にも約半数が賛成している。

   ブランドも続々参入。ベネトンはカラフルな10色を用意した「キッチンエコバッグ」を500円で販売。エルメスは、高級ブランドらしく15万8550円のエコバッグ「シルキーポップ」を発売し、話題になっている。ブランド物をありがたがる日本人を狙い撃ちしたとも思えるが、「15万円の買い物袋に、いったい誰がネギや大根を入れて持ち歩くのか」考えると、なんだか不思議だ。