元DeNAの荒波翔がメキシカンリーグのスルタネス・デ・モンテレイと契約【写真:球団提供】

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昨季終了後にDeNAを戦力外、モンテレイのキャンプに練習生として参加

 元DeNAの荒波翔外野手が19日(日本時間20日)、メキシカンリーグのスルタネス・デ・モンテレイと契約を結んだ。昨年限りでDeNAを戦力外となっていた荒波は新天地を求め、2月下旬からモンテレイのキャンプに練習生として参加。俊足強肩の荒波は、1番打者を探していたチームの補強ポイントに合致した。オープン戦でも1、2番打者として起用されており、主軸につなぐ切り込み役としてアピール。4月4日(同5日)の開幕戦、レオネス・デ・ユカタン戦でのスタメン出場を目指す。

 正式契約を勝ち取った33歳外野手は、改めて野球ができる喜びを噛みしめているという。

「(昨年秋に戦力外を通達され)5か月くらいチームに所属していない状態だったので、今は野球ができる喜びを感じている。海外でプレーすることは、誰もができることではないし、行ってみないとどんなところかも分からない。日本に来る外国人選手たちを見ていて、日本と違う野球スタイルにも興味があった。言葉の壁もあるし、自分でもすごい選択をしたなと思うけど、ここまで来たからには楽しんでやりたい。1日1日が勝負。日本と違ってシーズン終了まで保証されているわけではないので、長いスパンでプレーすることが目標。プレーで(恩を)返していけたらいいなと思います」

 メキシカンリーグの印象については「こっちの打者は体全体を使って力強いスイングをする選手が多い。ただ、守備は日本の方が基本がしっかりしている」と話す。その中でも「僕は力では負けるけど、日本でやってきたように足を使って塁に出て、集中力を切らさずに揺さぶりをかけたい。走るだけでなく、リードを大きくして牽制を投げさせたりして、流れを変えられるようにしたい」と、自身の姿を思い描いている。

 投手については「クイックが意外に速い」印象があるというが、「配球も日本と似ているし、何球かに1度、足を高く上げて投げる時もあるので狙っていきたい」と分析。日本で通算62盗塁を記録した俊足を、メキシコでも最大限生かそうと意気込んだ。

高地の多いメキシカンリーグは荒波の持ち味を生かす格好の場所

 メキシカンリーグは南北各地区に8チームずつ、計16チームで構成されており、交流戦もある。本拠地モンテレイの標高は約500メートルと影響は少ないが、16チーム中、8チームが標高1000メートル以上の高地を本拠地としており、うち2チームは標高2000メートル以上。低地と比べ、高地では空気抵抗が低く、打球がよく飛ぶため打者天国と言われるが、俊足で守備範囲の広い荒波にとっては、逆に自身の特徴を生かす格好の場所でもある。

 DeNA時代にも2度ゴールデングラブ賞を受賞しているその守備力はまだまだ健在。「まだ標高の高い場所で試合をしたことがないので、打球がどんな飛び方をするのかは体感していないが、メキシコは守備も足もアピールしやすい場所だと思っている。各打者のデータや特徴から推測してしっかりやりたい」と声を弾ませた。モンテレイの編成関係者も「荒波は足が速く、肩が強い。ホームへの返球もすごくいい」と期待を寄せている。

 チームメートには元巨人、日本ハムのウィルフィン・オビスポ投手、元広島のラミロ・ペーニャ内野手、元楽天のフェリックス・ペレス外野手らNPB経験者もいる。「『オハヨウ』って日本語で話しかけてくれるんです。いい雰囲気の中でやれているので助かります」と、早くもチームに溶け込んでいる様子だ。

 モンテレイは昨年のメキシコ王者でもある。大きな注目を浴びる中、荒波は自らの持ち味を生かしたプレーを披露し、新天地での活躍を目指していく。(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)