現在の日本でこういう行動が目立つのは、バイト先などで上手に承認欲求を満たしてあげられていないからという面もある(※写真はイメージ)

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 2月19日放送の「ワイドスクランブル」(テレビ朝日系)では、相次ぐ「バイトテロ」「バカッター」問題について、その背景には「承認欲求」がある、という視点で報じていた。仲間内でウケたい、認められたい、といった欲求、あるいは自分のキャラに忠実に振舞わなければいけない、といった思い込みから、バイト先で突飛な行動に出てしまう、というわけである。

 ゲスト出演していた同志社大学政策学部の太田肇教授は、組織論の専門家の立場から次のような見方を語っていた。

「バイト先での待遇に問題がある、といった指摘をする人もいますが、あまり関係ないのではないでしょうか。それよりも承認欲求が間違った方向に働いた結果だと考えたほうがいい。現在の日本でこういう行動が目立つのは、バイト先などで上手に承認欲求を満たしてあげられていないからという面もある」

現在の日本でこういう行動が目立つのは、バイト先などで上手に承認欲求を満たしてあげられていないからという面もある(※写真はイメージ)

 同番組内で紹介されていたのが、太田教授の新著『「承認欲求」の呪縛』をもとにした、「承認欲求」に関するチェックリストだ。項目は7つ。

・自分のSNSに絶対「いいね!」が欲しい

・周囲には嫌われたくない

・仕事で「もっとがんばらねば」と思っている

・職場の決まりが優先

・「期待しているから」と言われ満悦する

・自分の個性をもっと尊重してほしい

・職場でも家庭でも大きな責任を感じる

 これらを見て「いや、こんなの誰でもあてはまるでしょ!」とツッコミたくなるのは当然だ。太田教授も「承認欲求そのものは、老若男女、誰でも持っているものです。持っている方が自然ですから、3つ4つあてはまって当然でしょう」と言う。ただ、全部あてはまるとなると、ちょっと心配かもしれない。仮にSNSでは問題を起こさなくても、人間関係などのトラブルやストレスの原因にはなりえるだろう。

「認められたい」が破滅を招く! パワハラ、隠蔽、過労死……不幸への転落を防ぐ画期的提言。 『「承認欲求」の呪縛』太田肇[著]新潮社

 太田教授は、誰でも承認欲求を肥大化させてしまう可能性があるという自覚を持つことは大事なのだ、と説く。さらに、SNSによって「承認依存」になる危険性も認識すべきだという(以下、『「承認欲求」の呪縛』より)。

「軽い気持ちで使いはじめたものの、だんだんと『認められるような書き込みをしなければいけない』というプレッシャーを感じるようになるケースが多い。

 私が2018年12月にインターネットを使ったウェブアンケートで『他人から認めてもらわなければいけないと思いながら書くことはありますか?』と尋ねたところ、SNSを使っている人(409人)のうち、56.4%の人が『しばしばある』もしくは『たまにある』と答えた。

 ちなみに『だれに認めてもらわなければいけないと思いますか?』という質問に対しては『友だちや知人など』が74.7%で『不特定多数の人』(34.3%)の2倍以上に達する(複数回答)」

 本来、バイトに限らず仕事を真面目にやることこそが、本物の「承認」につながる。そうした姿は「友だちや知人」からも認められるだろうし、「不特定多数」の人も評価してくれる。逆に「いいね!」を押していても内心バカにしているなんてこともある。

 そんな当たり前のことをバイトテロリストたちは分かっていなかったのだろうか。

デイリー新潮編集部

2019年2月22日 掲載