実印不要な上に実車を持ち込む必要もなし!

 私ごとであるが、最近個人売買で軽自動車を買った友人の名義変更に付き合った。中古車を買った際には当然ながら名義変更が必要になり、お店で買った場合にはたいてい名義変更が済んだ状態で納車してくれるものだが、個人売買や住まいから遠くのお店での購入だと(後者はお店の手間などの問題で)名義変更の手続きを新オーナーがするケースが出てくる。

 名義変更にまつわる手続きは専門業者にお願いするという手もあるが、筆者は比較的時間が自由な個人事業主かつ自動車メディアで仕事をさせていただいている身というのもあり、経験したことがなかった軽自動車の名義変更を手伝った。そこで当記事では、後述するように登録車とは容易な方向に若干違う軽自動車の名義変更の方法を紹介する。

◎軽自動車の名義変更やユーザー車検といった手続きは、管轄の陸運事務所ではなく、軽自動車検査協会で行うので注意が必要。ちなみに軽自動車検査協会は最近陸運事務所とまったく別の場所にあるケースも増えているので、場所を間違ってしまうと大変だ。

■軽自動車検査協会に行く前に必要な書類

※前提として軽自動車の名義変更には、全体的に実印は不要となる。

●車検証の原本

●新オーナー、旧オーナーの認印(シャチハタは不可)

●新オーナーの住所を証する書類(=住民票か印鑑証明。コピーでも可で、発行から三カ月以内)

●ナンバープレート(軽自動車の名義変更は、登録車では最後に行うリヤのナンバープレート左側に着く、東京都なら「東」となる封印を着ける作業がない。そのためナンバープレートと車検証の原本を含む書類があれば、現車の持ち込みなしでも名義変更が可能)

※新旧オーナーの時間が取れず、手続きを第三者に任せる場合には登録車の委任状に相当する申請依頼書という書類が必要。こちらにも実印の押印は不要だ。

 と、登録車の名義変更に比べれば譲渡証明書、旧オーナーの印鑑証明書、各種書類への実印の押印は要らないと、実際に名義変更をした後でも「ホントにこれだけでいいの?」と思うほど手軽だ。しかし逆に考えれば、軽自動車は盗難に遭うと簡単に名義変更され、売却されてしまう恐れもある訳で、若干不安にも感じてしまうくらいだ。

※軽自動車の車庫証明の届出は名義変更後の申請でよく(名義変更から二週間以内が目安)、かつ市町村によっては車庫証明自体が不要という場合も多々ある。

■実践編

 軽自動車検査協会に着いたら、まず軽自動車センターという建物で申請書や税関系といった書類の記入を行う(書類は無料でもらえる)。書類の記入は登録車と同様に自分で行うか、敷地内にある場合が多い代書屋さんにお願いすることになる。代書屋さんは千円台後半の費用が掛かり、記入する内容は車検証と新オーナーの住民票や印鑑証明書を見ながら埋められるものなので、よほど時間がないか「字を書きたくない」というケース以外は自分で書くことがほとんどになるだろう。

 書類の提出後、旧オーナーと新オーナーの管轄が同じでナンバープレートをそのまま使う場合以外はナンバープレートを返納する。その後、敷地内の軽自動車検査協会の建物で新しい車検証が交付され、封印はないので新しいナンバープレートを自分で取り付ける。

 1つ注意が必要なのは、年度の軽自動車税は市町村に納めるものになるため、旧オーナーの市町村への税止めという作業が必要だ。税止めは自分で行うか代書屋さんに頼むかの方法がある(筆者は代書屋さんに依頼した)。

 軽自動車の名義変更は登録車以上に簡単なので、所要時間は、初めての経験だった筆者でも40分程度だった。掛かった費用は希望ナンバーや白いオリンピック記念ナンバーでなければ、以下のとおり安い。

・新ナンバープレート代(通常)    1520円
・税止め手数料            1620円
・合計                  3120円

 つまりナンバープレートの変更なく、税止めも自分でやれば無料である。

 また軽自動車検査協会も陸運事務所と同じく非常に親切なところで、分からない点は聞けば親身になって教えてくれるので、書類さえ揃っていれば、誰でもできるだろう。

 それだけに、軽自動車検査協会も陸運事務所と同様には年末年始を除く平日(午前8時45分から11時45分、午後1時から4時)しかやっていないので、時間のやりくりがしにくい人だと自分で行うのは時間的に難しいのは事実。だが、可能ならお金の節約だけでなくクルマの手続きを体験してみるという意味も含めて、自分で行ってみてはいかがだろうか。