「ちょっと一人で飲みたいな」と感じた時に立ち寄りたいのは、やっぱり心落ち着く和食が味わえる場所。

恵比寿がホームタウンならば、必ずおさえておきたい和食の名店を紹介しよう。



「お刺身盛り合わせ」(1人前1,800円)。つけダレは、土佐醤油と煎り酒が用意され、合わせるお酒によってつけダレを変えるのがおすすめ
割烹料理をハーフポーションで楽しめる一人飲みの聖地『和心庵のら』

恵比寿で13年続く和食関西割烹店『和心庵のら』。店内に入り、客席を見渡すと、カウンターにはぽつり、ぽつりと一人でしっとり飲むお客の姿が目に入る。

気さくな店長・永島さんのとの会話を楽しみながら、好みの酒を選んだら、まずは「お刺身盛り合わせ」を注文。

料理長自ら築地で仕入れる旬の魚を使用した刺身は、生うになど6種を堪能できる一皿。刺身盛り合わせは2人前からのお店が多いが、同店は1人前からオーダーできるのが、一人飲みタイムにはありがたい。



「玉子焼き」(ハーフサイズ300円)

刺身の後は、「玉子焼き」を注文。こちらも一人のみでは頼みにくい料理の定番だか、丁度いいポーションで供してくれるのだから、通いたくさせてくれる。

かつお出汁、みりん、醤油、塩、砂糖で味付けされた玉子焼きは、口に入れるとふんわりと優しい甘みが広がっていく。



「地鶏のポン酢和え」(1人前750円)

関西割烹の名店出身の料理長が手がけるこだわりの和食を気軽に楽しめるのが魅力の同店。

山口県産の黒柏という地鶏を使用した「地鶏のポン酢和え」。自家製ポン酢にかんずりを加えたタレをかけ、さっぱりと仕上げた逸品だ。

噛むほどに旨みを増していく地鶏に、上にかかるふぐネギ「安岡ネギ」の香りと食感がいいアクセントに。



「揚げだし豆腐」(ハーフサイズ450円)。三宿の『相川屋豆腐店』から仕入れる絹ごし豆腐を使用している

最後は人気の「揚げだし豆腐」を注文。

運ばれてきた瞬間に漂うのは、かつおのいい香り。アツアツの出汁の中で踊る鰹節を横目に、美しく揚げられた豆腐をすくい口に運ぶと豆腐の力強い旨みとともに、かつお出汁がじんわり心から温めてくれる。

これからの時期、恋しくなること間違いなしの味わいだ。



カウンター席の他、テーブルや個室も備える

料理すべてにこだわりの仕事を加え、供する『和心庵のら』。

永島さんが作り出す和やかな雰囲気からか、自然とお客同士の繋がりができ、帰る頃にはまるで自宅で飲んでいたかのような気分になってしまうのだから不思議だ。同店を「自分だけの特別食堂」と呼ぶ人も多いという話も頷ける。


美味しい鶏にかぶりつきたい日はこちら!



「上(ヘルシー手羽むね)」(1,580円)。むね肉はパサつくというイメージがあるが、神明鶏のむね肉はしっとりとジューシー!パリッとした皮の香ばしさも魅力だ
こういう店を行きつけにしたい!大人が通う名酒場『おじんじょ』

恵比寿駅から徒歩4〜5分。恵比寿西1丁目の五差路のほど近く、裏路地にひっそりと佇むのが『晩酌屋 おじんじょ』。ここが、「適度な隠れ家感」と「美味しい料理」、「居心地のいい雰囲気」という、大人が通う名酒場の条件が揃う、稀な店のひとつである。

この店の名物は、「神明鶏の肉汁焼き」だ。ほどよい弾力とコクのある旨みが特徴の広島県三原産の「神明鶏」を、じっくりジューシーに焼き上げており、一度食べたらヤミツキになる味わい。

丸鶏のまま仕入れ、店でさばいた後、塩、コショウ、ローリエ、オリーブオイルと酢で作る特製調味料に1日漬け込む。そして注文が入ってから250℃のオーブンで27分、じっくりと焼き上げていくのだ。



全6種の中から、今回は(手前)「レモンチェッロで酎」(490円)、(真ん中)「ミント香るレモン酎」(490円)、(奥)「瀬戸田のレモン塩de酎」(490円)をセレクト

食事とともにこの店のもうひとつの名物である瀬戸田産のレモンを使用した「レモンサワー」と一品料理を味わいたい。

レモンサワーは、なんと6種を揃えるほどの力の入れよう。この店では、1杯目からレモンサワーを注文する客も多いのだとか。

気になるラインナップは、スタンダードな「いつもの生レモン酎」をはじめ、ハチミツレモンとミントが決め手の「ミント香るレモン酎」、瀬戸田のレモンで作った自家製「レモン塩」を入れながら飲む「瀬戸田のレモン塩de酎」など、目移り必至のバリエーション。



「おじんじょのポ・テ・サ・ラ」(580円)

迫力のビジュアルで登場する「おじんじょのポ・テ・サ・ラ」は、クリーミーでシンプルなポテトサラダに、カレー味のたくあんをのせた人気の一品。



人気の「うにといくらとからすみのこぼれる小鉢」(680円)は、破格なのも驚き!

最近人気が急上昇しているというのが「うにといくらとからすみのこぼれる小鉢」。

ショットグラスに大根おろし、和風出汁のジュレを入れ、その上からいくらからすみ、うにをこれでもかと盛りつけた一品だ。



手巻き寿司感覚が楽しめるトッピングの「海苔」(190円)はぜひ追加でオーダーしよう

和風ジュレと大根おろしと、魚卵たちを豪快に混ぜながら食べれば、さまざまな旨みが口のなかで弾けていく!

海苔にひと口サイズのご飯が付いたトッピングをプラスして、クルッと巻いて食べるのもおすすめだ。



「上」は手羽付き!半身の状態でテーブルに運ばれ、スタッフが目の前で食べやすいサイズに切り分けてくれる

「神明鶏の肉汁焼き」は、先ほど紹介した「上」と呼ばれる手羽むねと、「下」と呼ばれるもも肉の2種が用意されている。

それぞれボリューム満点なので、2名ならどちらかひとつ、4名以上ならば2つ頼んで味の違いを楽しむのがいいだろう。

ただどちらかひとつ頼んだら最後、「こっちはどんな味だろう…」と興味をそそられずにはいられないはずだ!



「下(定番もも肉)」(1,580円)。むね肉に比べ、脂の美味しさと弾力を楽しめるのがこちら



いつも賑わう店内の様子は店先から窺える



カウンター席でサクッと一人飲みもおすすめ。気さくな店長・渡辺氏との会話も楽しい

大皿に盛られた料理が目の前に並ぶカウンター席、ハイチェアのテーブル席に、ロフトの座敷も有り、利用幅の広さも魅力。もちろん一人でしっとりとカウンターで飲むのもいい。

気の知れた仲間とのひと時は、こういうちょっと気の利いた場所が最適。 自分だけの「恵比寿の止まり木」として、覚えておきたい店なのだ。


恵比寿で愛され続ける名酒場



「ゆでたてタコ吸盤」。茹でたてで提供される吸盤は、白だし醤油で味付けされ、コリコリとした食感が楽しめる
恵比寿の遊び人なら知っている!『吉柳』

恵比寿という街で30年以上愛され続ける名酒場『吉柳』。

気合いを入れて訪れる店の多い恵比寿は、普段使いできる店が意外と少ない。そんな時に必要とされるのが、毎日通っても飽きずに、ほっと落ち着ける空間である『吉柳』のような酒場なのだ。



「あぐー豚おろしポン酢」

お客のオーダーを見ながら、味の被る料理があれば機転を利かせて、サッとどちらかの味付けを変更するという配慮も。

この日も、「ゆでタコ吸盤」は通常ポン酢で味付けするが、「あぐー豚おろしポン酢」と被るため、白だし醤油に変更していただいた。

それが、酒飲み心をガッチリ掴んで離さない品書きとアレンジだ。30年近く遊び人たちとともに恵比寿の夜を過ごしてきた目利きだからこそ成せる技なのだ。



「ほうれん草とベーコンエッグサラダ」

ほうれん草とベーコンサラダの上に、半熟卵を豪快にのせた一皿も『吉柳』を語る上では欠かせない。

見た目は普通の「ほうれん草とベーコンエッグサラダ」なのに、一度食べてしまうとクセになり、数日後にはまた食べたくなってしまう逸品なのだ。

その味の決め手となっているのが自家製の無化調ドレッシング。バルサミコと白ワインビネガーを混ぜ、沸騰させないように注意しながら火入れして作られており、全ての具の一体感を生んでくれる。



「スープカレー チキンとあさり」

開店当時から提供を続けるカレーは『吉柳』の名物である。元はアルバイトのネパール人スタッフが、夜な夜な振る舞っていたカレーから始まったそう。それが好評になり、定番化したものだという。

現在はスパイスカレーとスープカレーの2種を提供。今回は「スープカレー チキンとあさり」をセレクト。

塩、胡椒、カレーパウダー、バルサミコで作られるサラッと胃に流れ落ちていくあさり出汁の効いたスパイシーなスープがたまらない!

まずはそのまま、その後、具の上にのる青のりを溶かして磯の香りをプラスしたり、添えられたバターをスープに溶かしてコクをプラスしたりと味変も楽しめるのも嬉しい。



実はカレーが一番美味しい時間は18時〜19時30分だ。常連客の中には、この時間を狙って遊ぶまえに訪れる人も

気取らず、シンプルに美味しいものを提供し、常に進化し続ける『吉柳』。カレーや定番料理であっても、常にさらに美味しくできるよう日々研究を欠かさない。

だからこそ常に時代の流れを意識している遊び慣れた大人に受け入れられ、そんな人たちがちょっとひと息つきたい時に訪れたくなるのだろう。

恵比寿という場所で遊ぶなら、必ずおさえておくべき酒場であることは間違いない。