ゴールこそなかったものの随所に存在感を発揮した堂安。代表定着へ次戦以降が重要になる。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 森保ジャパンが初陣となったコスタリカ戦を3対0の快勝で飾ったね。立ち上がりから日本がショートパスを主体にいい連係でコスタリカを押し込んで、攻撃陣の躍動感が目立つ内容だった。中島や堂安がドリブルで相手の守備を切り裂き、南野は再三ゴール前で決定機を迎え、小林もJリーグでの好調をそのままにキレのある動きでチャンスを作っていたね。
 
 中島が言っていたように、ドリブルで仕掛けて「お客さんを楽しませるプレー」も多く飛び出したし、守備の方も後半はほとんどピンチらしいピンチもなく、無失点での勝利。森保ジャパンの船出の試合としては、これ以上ないスタートを切ったと言えるよ。
 
 もっとも、この日のコスタリカは正直、そんなに歯応えのある相手じゃなかったし、もっと点が入ってもおかしくはなかった。日本の良さばかりが目立っていたあたり、スパーリングパートナーとしては、かなり手頃な相手だったんじゃないかな。
 
 当然、相手が相手だけに、この日の勝利で浮かれるのはまだまだ早いよ。ワールドカップのような舞台で、こんなイケイケの試合になることなんてめったにないし、さらにランクの上がった相手にも同じようなサッカーができるのか、という疑問もある。
 
 もちろん、こういう試合だからこそ、敢えて出来ていなかった部分にも目を向けなければいけない。決定的なシュートを外したキック精度の低さはもとより、前半途中にはショートパスばかりで単調になりすぎて、膠着した時間帯もあった。連係面で言えば、堂安や中島、南野、小林といったスタメンで出た選手たちのコンビネーションは良かったけど、途中出場の浅野は一度良い形で抜け出す場面があったものの、全般的には持ち前のスピードを活かしきれていなかった。
 
 完勝の内容とはいえ、課題が決して見えなかったわけではないよ。そういう意味では、10月の2試合、とりわけウルグアイ戦が本当の意味でのテストになる。もちろん、相手がそれなりのメンバーを揃えてくれたらの話にはなるけどね。
 
 一方で、A代表と五輪代表の兼任監督という立場の森保監督としては、改めてふたつのチームを率いるメリットが感じられた試合になったんじゃないかな。
 
 森保監督は、最大の目標であるワールドカップを見据えながら、2年後の東京五輪に向けて若手の成長も促さなければならない。その過程で、競争を煽りつつ、若手と中堅・ベテランをうまく融合させてチームを作っていく必要がある。若手をA代表に入れて刺激を与えたり、逆に中堅・ベテランをオーバーエイジに使ったりと、やりくりできるのも兼任監督ならではだろう。
 
 今回のコスタリカ戦で言えば、堂安が東京五輪世代では唯一出場して、アグレッシブな仕掛けや裏への飛び出しを見せるなど、大いに存在感を発揮していたね。相手の質はさておき、堂安が今後もあれくらいやってくれれば、同じレフティでアタッカータイプの本田を五輪代表のオーバーエイジで呼ぶ必要もなくなるんじゃないかな。ふたつのチームを見ることで、そういう判断だってつきやすくなるよね。
 
 もちろん、A代表内での競争も熾烈になってくるよ。コスタリカ戦でとりわけ充実したパフォーマンスを見せていた中島は、ポジション的にもロシアで大活躍を見せた乾の強力なライバルになりそうだし、同じく前線の南野や小林も良い印象を残した。コスタリカ戦で結果を出した選手たちは、次の10月シリーズにも呼ばれるだろうけど、そこで強豪のウルグアイを相手にどんなプレーを見せるのかで、また評価が変わってくる。
 
 おそらくは次の10月の2試合も、ロシア・ワールドカップの主軸以外の選手たちが選考の中心になるだろう。そして、11月シリーズでは、来年1月のアジアカップを見据えてロシアで活躍したワールドカップのレギュラーメンバーも含めた競争という流れになるはずだ。