写真=iStock.com/YanLev

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エクセル作業のスピードを左右するのがショートカットキーの使い方。わずかな時短術の積み重ねが、大きな差を生む。

■小さな時短術の積み重ねが大きな差を生む

サッと仕事にかかるには、エクセルの起動時間も極力短くしたいものです。

【(1)一発でエクセルを起動できる方法】

2つ紹介します。1つは「ランチャー機能」を使うこと。「スタート」メニューからエクセルを選び、右クリックで「プロパティ」を選択。「ショートカットキー」欄に任意の文字(例えばエクセルの「E」)を登録すれば準備完了です。起動時は「Ctrl」+「Alt」+任意の文字を押すだけ。ストレスゼロで仕事を開始できます。

もう1つの方法では、エクセルのショートカットを画面の最下段にある「タスクバー」にドラッグ・アンド・ドロップします。すると、左からの並び順の数字をWindowsキーと一緒に押すだけでエクセルが起動します。例えば一番左に置いた場合は、Windowsキー+「1」という具合。これくらい瞬間的にパッと起動できると、エクセルを電卓代わりに使えて便利です。

【(2)入力の効率化を図るワザ】

私の会社ではファイル更新日を記す習慣にしていますが、手入力では案外手間がかかるもの。日付なら「Ctrl」+「セミコロン(;)」、時刻は「Ctrl」+「コロン(:)」が便利。これらを続けて行えば、同一セル内に日付と時間の両方を記入できます。間に半角スペースか、「Alt」+「Enter」で改行をはさむと見やすくなります。

【(3)コメント機能】

複数の人でファイルを共有する場合、便利な機能です。コメントボックスを開く際、多くの人はマウスの右クリックで「コメントの挿入」を選んでいるはず。でも、「Shift」+「F2」なら一瞬で済み、私は各行列の記入例などを入れておくのに重宝しています。

【(4)セル内でのカーソル移動】

文字情報が多いファイルでは案外面倒な作業で、マウスなしでサクサクこなせば、大幅な時短を実現できます。

例えば、文字列の途中から行頭に移動したいなら、「Home」を押すだけです。逆に行末に飛ぶには「End」を押せば一発です。ただし、複数の段落がある場合、段落トップに飛ぶには「Ctrl」+「Home」、最後に飛ぶには「Ctrl」+「End」を押します。

私の会社では、顧客対応の記録などもすべてエクセルで管理しています。こうしたワザがあれば文章編集の手間を大きく軽減できるため、特別なアプリは必要ありません。

【(5)複数ファイルの切り替え】

複数のファイルやアプリケーションを開いていると、混乱して作業効率が落ちてしまいがち。「Ctrl」+「F6」か「Ctrl」+「Tab」でパッと切り替えましょう。「Alt」+「Tab」で「Tab」だけを離すと、選択画面が表れ、「Tab」を押すごとに切り替えられます。選択画面が必要ないなら「Alt」+「Esc」でOKです。

■瞬時に「画面の移動・サイズ変更」「行や列の挿入・削除」

【(6)画面の移動・サイズ変更】

ウェブサイトを見ながら作表するような場合、エクセル画面のサイズを変えたり位置を動かしたりしたくなりますね。マウスで画面の端や隅をドラッグしてもいいのですが、やはりショートカットキーが便利です。

まず画面移動の場合、「Alt」+「Space」+「M」を押すと、画面上部に十字の矢印のマークが現れます。次に上下左右キーを押せば、画面の位置を任意に動かせます。

画面サイズを変えたいときは、「Alt」+「Space」+「S」を押します。今度は矢印マークが画面の中央に出るので、上下左右キーで自由自在にサイズを変更できます。いずれもファイルが「元のサイズ」のときに有効な操作です。マウスより微調整が利くので、ストレス軽減にも効果絶大。

【(7)行や列の挿入・削除】

作表の際、大半の人がマウスの右クリックで行っている作業ですが、これにも簡単な瞬間ワザがあります(図1)。

まず、入力モードを[英数字]にします。次に挿入先の行を選択し「Ctrl」+「Shift」+「+」を押すと、その上に空白の行が挿入されます。列の場合も同様の操作で、選択していた列の左に新規挿入されます。削除の場合は、行でも列でも、消したい箇所を選択して、「Ctrl」+「−(マイナス)」を押すだけです。

このワザが便利なのは、複数の行や列でも同じ操作が利くことです。例えば、新規に3行挿入したいなら、3行選択してから「Ctrl」+「Shift」+「+」を押せばいい。削除の場合も同様です。

特に複数の行列挿入の場合、マウスの右クリックでは同じ操作を複数回繰り返す羽目になり、結構な手間がかかります。

■体に覚え込ませたらたちまち1時間以上の時短効果

【(8)罫線を引く】

作表で罫線を引く場合、通常なら、「セルの書式設定」から「罫線」タブを選んで罫線の種類を指定しなくてはなりません。でも、「Ctrl」+「Shift」+「6」を押せば、選択していた範囲の外枠を一瞬で引くことができます。削除の場合は、「Ctrl」+「Shift」+「_(アンダースコア)」です。

【(9)目的のセルに移動】

エクセル作業で地味に時間を取られます。延々とスクロールダウンしたり矢印キーを連打したりして、イラついた経験を持つ人も多いはず。瞬間的に目的のセルまで移動するワザを紹介します(図2)。

まず、現在のカーソル位置からブック内の先頭(A1)までジャンプできるのが「Ctrl」+「Home」。いったんデータのトップに戻りたいときに使えます。同じ行の先頭に戻りたいなら「Home」だけでOK。

見たいセルの行列がわかっているなら、「Ctrl」+「G」でジャンプのダイアログを開きます。「参照先」ボックスにセル名を入れて「OK」を押せば、指定のセルに最速でたどり着きます。特に人とやりとりしているときに「Hの85を見て」などと言えて便利です。

【(10)シートの切り替え】

最後に、エクセルのどんな作業でも煩わしいのがシートの切り替え。「Ctrl」+「PgDn」で右方向に、「Ctrl」+「PgUp」で左方向に切り替えるワザは意外と知られていません。複数のシートをまたぐ作業に非常に便利です。

以上のワザを使いこなすと、1時間以上の時短になります。筋トレのように何度も繰り返して、体で覚えてしまいましょう。

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岡田充弘(おかだ・みつひろ)
カナリア代表取締役
クロネコキューブ代表取締役。大手コンサルティング企業などを経て現職。600にもおよぶパソコン時短ワザを集めてマニュアル化している。著書に『仕事が速い人ほどマウスを使わない! 超速エクセル仕事術』ほか。

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(カナリア代表取締役 岡田 充弘 構成=小島和子 撮影=篠原沙織 写真=iStock.com)