ドラマの世界では、金八先生のようなスーパー教師が、たった一人の力で問題のある生徒を立ち直らせていきます。ところが現実は、家庭の支援が無ければ学校教育はなりたちません。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では著者の松尾英明さんが、誰でも知っている「ドラえもん」を題材として、家庭と学校のあるべき信頼関係をわかりやすく解説しています。

ジャイアンが先生の言うことを聞くのはなぜか

家庭教育が学校教育に資する重要な影響について。わかりやすく、ドラえもんに例えて書く。

ジャイアンは、問題である。しかし、彼は先生にとって、手が付けられない存在ではない。なぜなのか。

ジャイアンは、先生の言うことを聞くのである(誤魔化しはするが)。それは、先生から母ちゃんに伝わると、母ちゃんに叱られること必至だからである。母ちゃんはジャイアンにとって、世界一怖くて、世界一大好きな存在なのである。

では、なぜそうなるのか。それは、母ちゃんが「先生の言うことを聞け」と言っているからである。もし母ちゃんが「先生なんて」などと言っていたら、ジャイアンは高確率で先生の言うことを聞かなくなる。つまり、こういう関係図になる。

1.ジャイアン→母ちゃんを重視

2.母ちゃん→先生を重視

この2要素どちらか一方が欠けていると、ジャイアンは先生の言うことを聞かなくなる可能性が高い。

「可能性が高い」というのは

3.ジャイアン→先生を重視

という図式が単独で成り立つことも有り得るからである。

つまり、ある程度の経験と指導力があれば、ジャイアンも先生単独でなんとかならないこともない。しかし、例えば新卒の若い先生などに対し、母親あるいは父親が「あんな若い先生」とか「先生なんて」と言っていたら、高確率で崩れる。今は、全国の学校の多くの人員を、新卒をはじめとした20代の若手が支えているのである。

親の立場ならば、自分の言動が学級を崩している原因を作っている可能性があることを知っておいた方がよい。若く意欲があって頑張っている先生の足を引っ張らない方がよい。その最大の被害者は、そこに所属している我が子だからである。

幸いにして、私の勤務校は若手が極端に少ないのでその事態は見受けられないが、全国的には見られる崩れ傾向である。

子どもの教育の第一義は、家庭にあり。家庭教育の充実が、学校教育の充実につながることは揺るがない事実である。

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