21日、日本代表の合宿がスタートした。もっとも19日、20日まで試合のあった選手も多く、この日集合したのは27人中10人のみ。メニューもコンディション調整を主眼としたトレーニングに終始した。

この日、ピッチに姿を見せた選手の中で、もっとも西野朗監督を知るのが宇佐美貴史。G大阪時代、高校2年生でトップチームデビューし、バイエルン・ミュンヘンに移籍するまで、指揮官として宇佐美を指導したのが西野監督だった。

ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の解任を「(サッカー界ではよく)あること」と気持ちを切り替えていた宇佐美だったが、西野監督が就任したことについては「巡り合わせ、縁を感じる部分はあります」という。だが、「僕のやらなきゃいけないことは変わらない」と真剣な表情で語った。

このシーズンは宇佐美にとって充実した年だった。最終節のニュルンベルク戦では2点差からヘディングシュートで反撃ののろしを上げると逆転に貢献。1部リーグ昇格に2部リーグ優勝の華を添えた。

自分の何が変わったのか、宇佐美はこう振り返った。

「安定した精神状態でサッカーできるようになったかと思います。後半戦は楽しくサッカーできましたし、楽しんでサッカーをすることの重要性と、楽しんでサッカーするために必要なことがわかりました。どちらかが欠けていてもいけないし、楽しむためにはコンディションも含めた準備が大切で、しっかり集中して取り組まなければいけない」

「取り組んでいるとパフォーマンスが上がる。パフォーマンスが上がると自分の中での楽しさもどんどん増えて、いい相乗効果を自分の中で作り出していくことを感じました。なので、そういうところを作りながらプレーしたいと思っています」

宇佐美が楽しんでプレーできるかどうか、西野監督に懸かる部分も大きいだろう。

「オーラのある監督でしたし、しっかりと選手のことを見てくれていて、監督が使った若手が結果を出していくというのを目の当たりにしました。僕自身もそうやって使ってくれて、なんとかプロとしてのキャリアをスタートさせることができました。締めるところを締めるだけじゃなくて、たまに見せるちょっと天然なところもあって、楽しいですよ」

少し気分がほぐれてきたのか、そう語って報道陣を笑わせる。そして最後に西野監督で一番印象に残っていることを語った。

「すごくしゃべるという感じではなかったですね。節目でズシッと重みのある言葉をかけてくれるアプローチの仕方でした。言われた一言は短いけどインパクトがあったのを憶えてます」

宇佐美にとって縁や親近感を感じつつ、緊張感を持って接しているのが西野監督ということだろう。

【日本蹴球合同会社/森雅史】