パドレス・牧田和久【写真:Getty Images】

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牧田の獲得秘話、パドレス環太平洋オペレーション部長に独占インタビュー

 独特のサブマリン投法でアメリカで脚光を浴びているパドレスの牧田和久投手。33歳で悲願のメジャー挑戦を実現させた右腕について、パドレス幹部が単独インタビューに応じ、その移籍の裏側を語ってくれた。

「うちのチームGMがテキサス・レンジャーズのGMだったことがすごく大きかった。自分が彼と同じ時期にパドレスに入団したんですけど、当時から牧田のようなピッチャーが欲しいと言っていました。牧田が西武に入ってきたくらいからずっと見ていると思います。GM自身が日本でスカウティングしているわけですから、それがまず大きかった」

 こう語ったのはパドレスの環太平洋オペレーション部長の興梠エーシー氏だった。牧田をNPBデビュー時からスカウティングを続けていたのがAJ・プレラーGM。かつてドジャースで手腕を発揮していた興梠氏と同時期にパドレスにやってきた敏腕強化担当は2004年からレンジャーズの国際・プロフェッショナル部門のスカウティング部長を務めていた。当時ダルビッシュ有投手(現カブス)獲得にも貢献した同氏は足繁く日本に通い、牧田のピッチングも視察していた。

「牧田を知っているGMがいる上に、様々なスカウトに選手1人を見てもらうシステムになっています。特にアジアはGMから、強化部ナンバー2のローガン・ホワイト、プロスカウト部長も現地で視察します。彼ら全員が見た上で判断した。“マキタは面白い。アメリカで通用する”と。ポスティングになってすぐ獲得に行こうと決まりました」

希有なサブマリンだけでなく重視したのは…

 強化部全員が牧田に圧倒的な評価を与えたという。マウンドに指が触れるくらいに腕が下がる、独特の角度から放たれるライジングボールなど、投手として異彩を放つサブマリン投法。それ以外にも、スカウティングレポートでは、ある部分に注目が集まったという。

「球団としては補強に関して、その選手の人間性を重視にする。ただいい選手というだけではダメです。スカウティングレポートも他の球団とは違います。『メイクアップ』と呼んでいますが、そのレポートでも半分近く選手の人間性や性格のことを書かないといけない。

 なぜかというと、いい人間はいい選手になるというポリシーがあります。それを凄く大事にしている。どんなにいい選手でもクラブハウスで問題を起こして、トレードに出されてしまうケースがあります。そういうことはあってはいけない。クラブハウスのムード、チームワークを大事にしていきたいというのがパドレスという球団なんです」

 興梠氏はこう説明した。選手のタレント性に疑問の余地がなくても、人格面で問題があれば獲得は見送る。他球団よりもスカウティングレポートで人格面の評価を重視するパドレスの流儀を説明した。

牧田の活躍を“確信”、「見ていて面白い」

「うちのGMは凄く厳しく聞きます。その時にはプレゼンの情報を用意していないといけない。『何でいいの? どういう男なの? 競争心はあるの? その情報はどこから聞いてきたの?』と。すごく調査しないといけないんです。トップスカウトだった幹部が見ている。僕自身は牧田君、二重丸だと思ってます。クラブハウスではものすごく愛されてますから。彼はスマイリーですよ」

 常に笑顔を絶やさず、主砲のエリック・ホズマー内野手やスペイン語圏の選手とも人間関係は良好だという牧田。その変幻自在のピッチングはアメリカで衝撃を与えると興梠氏は信じている。

「牧田には打者のタイミングを崩すファストボールがあります。メジャーの理論では、バッターのバットスピードをどう変えるかじゃないですか。彼のボールは30マイル(約48キロ)違うんですから、見ていて面白いです」

 120キロ台のライジングファストボールから80キロ台のカーブという緩急自在なサブマリン。パドレス強化部はクラブハウスで愛される33歳のルーキーの活躍を確信している。(Full-Count編集部)