カルビー 会長●松本 晃氏

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一流の経営者は、仕事以外の時間をどう過ごしているのか。雑誌「プレジデント」(2017年5月15日号)の特集「一流の人の1週間」から、経営者3人の「オフの過ごし方」をご紹介します。第3回はカルビーの松本晃会長です。松本会長は「コンビニ6軒を回って、気になった菓子を自腹で買う」といいます。その理由とは――。(全3回)

■日曜日は極力定型にしようと意識している

今、企業が社員に求めるものは、労働時間ではなく成果です。成果が上がるなら、どこで何時間働いたか、どれだけ休みをとったかは、問題ではなくなってきています。今盛んに議論されている「働き方改革」の本質は、ここにあると考えています。

そういう考えを前提に、私の休日の過ごし方をお伝えしましょう。といっても土曜日の予定はバラバラ。出張が入っていることも多く、たまにプライベートでゴルフをすることもあれば、家族の予定が入ることもあります。ただし日曜日は極力、定型にしようと意識しています。年齢も年齢ですから、動き続ければくたびれます。私にとって日曜日は体のリコンディショニングの日。可能な限り決まったスケジュールにして、体調を整えるのです。

まず起床は6時です。起きたら顔も洗わずパソコンに向かい、眠気覚ましにメールの返事を書き始めます。緊急性が低いため返事を後回しにしたメールをこの時間にまとめて返信します。返信済みのメールは受信トレイから削除します。メールついでにウェブニュースも読みます。そんなことを2時間ほどやって8時半頃になると、お風呂に入ります。

朝から風呂かと思うかもしれませんが、私は平日も出社前に風呂に入ります。綺麗好きというより、あったかいお湯につかるのが気持ちいいから。浴室内テレビを見ながら10〜15分ほど湯船につかります。日曜は「サンデーモーニング」をよく見ますね。テレビが面白いと、長風呂になることもあります。

風呂から上がると食事です。朝は「フルグラ」とバナナと決めています。自社製品だからではなく、本当においしいからです。食べ方は、赤いパッケージの「フルグラ」をベースに、茶色いパッケージの「メープル味」を3対1の割合でトッピングする。こうすると香りがいい。それを牛乳に浸して食べるのが僕のスタンダードです。赤のフルグラに緑の「トロピカルミックス味」を2対1の割合にして食べることもあります。

■「身銭を切ってでも食べたい」と思ってもらえるかどうか

10時になると、散歩に出かけます。まず近所の公園の外周に沿って4周します。1周700〜800メートルですから、3キロちょっとです。それから街のほうに足を向け、スーパー4軒とコンビニ6軒を回って定点観測します。毎週ルートは同じです。店に入って「なるほど、最近はこんなものが出ているのか」と見て回ります。

そして面白いものを見つけたら、迷わず買います。だから出かけるときにはポケットに1000円札を何枚か入れておきます。私は、気になる商品は自社も含めて全部自腹で買い、家に持ち帰って食べてみます。パッケージを見て、味を確かめながら、その商品が今後も継続的に売れていくかどうかを予測するのです。そして次の日曜に、お店に確かめに行く。「売れ続ける」と予測したものが翌週・翌月も置いてあれば正解。

逆に予測が外れたときは何が原因かと考えます。そうやって自分の勘を養っているわけです。自社と他社がどんな商品を出しているか、どんな商品が今後も売れ続けるか――。そういった現場感覚を磨いておくことがとても大事なんです。

マーケットリサーチなどといって、会社の経費で買ってきた商品を会議室で食べたりしますが、売れるかどうかなんてわかりませんよ。今やどのメーカーの商品もおいしい。それなのに売れるものと売れないものが出てくるのはなぜか。それは結局のところ「身銭を切ってでも食べたい」と人に思ってもらえるかどうかが分かれ目になっているからです。自腹で買ってきて食べてみて、「また買いたいと思うかどうか」を自分で判断することでしかわからないんです。

この定点観測は、私にとっては趣味みたいなものです。でもこれが私の仕事を支える要素になっています。成果を出すために仕事と余暇の境目がなくなっているというのは、こういうことなんです。

そうやって3時間ほど、距離にして10キロちょっと歩いて自宅に戻るのが13時頃。お昼の時間ですが、日曜には昼食をとりません。昔ほど、今は食べることには興味がないかもしれません。何も食べないまま、溜まった雑誌を読んだりして過ごします。

■ジムで運動した後、整体院で体を整える

15時半になるとジムに向かいます。最寄りの駅まで歩いて、そこから電車に乗って行きます。ジムでは筋トレをしたり、走ったりはしません。ウオーキングマシンで1時間ほど歩いて、その後はゴルフの打ちっぱなしを1時間ほどするくらいです。シャワーで汗を流したら、今度は整体に行きます。散歩は雨が降ったら休みますが、整体だけは絶対に欠かしません。これをしないと私の体がもたないんです。20年来同じ整体院に通っていて、私の体のことを全部わかっている先生にお願いしています。

そうして帰宅するのが19時半くらいです。軽い夕食をとって、後はダラダラ過ごします。本を読むこともありますが、その頃にはくたびれていますから、ウトウトしてくる。22時にはベッドに入ってしまいます。ベッドでは必ず本を読みますが、日曜の夜は5ページも読めずに眠ってしまいますね。そして翌朝は5時台に起床――というのが私の日曜の過ごし方です。1日を通じて「体を動かしながら休む」という感じですね。

常に頭は動かしていますから、その意味で休日と平日の境目はありません。読者の皆さんも、成果を出すために自分の時間をどう使ったらいいかについて真剣に考えるといいでしょう。それは先に述べたように、会社が求めているのが何時間働いたかではなく、成果だからです。

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▼松本会長の週末のスケジュール

日曜日

06:00 起床
未返信メールのチェック・返信/ウェブニュースのチェック

08:30 入浴・朝食
朝風呂で心身をリラックス&リフレッシュ

10:00 散歩(定点観測)
コンビニ6軒、スーパー4軒を回る

13:00 読書

16:00 ジム・整体

20:00 夕食

21:00 読書など

22:00 就寝

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松本 晃(まつもと・あきら)
カルビー 会長。1947年生まれ。72年、京都大学大学院農学研究科修士課程修了後、伊藤忠商事入社。93年にジョンソン・エンド・ジョンソンメディカル(現ジョンソン・エンド・ジョンソン)入社。代表取締役社長、最高顧問を歴任。2009年カルビー代表取締役会長兼CEO就任。
 

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(カルビー 代表取締役会長兼CEO 松本 晃 構成=大島七々三 撮影=的野弘路)