【関西・中四国】預金・預かり資産拡大
 関西および中・四国の主要地銀6行の2017年4―9月期は、好調な企業業績を背景に預金や預かり資産などの量を拡大した。ただ収益はバラつきがある。

貸出金残高は京都銀行が初めて5兆円の大台を突破。地域における資金需要は底堅く、広島銀行や中国銀行も順調に伸ばした。ただ収益は各行、構造が異なる。伊予銀行は資金運用収益の改善や株価上昇が寄与し、連結の経常利益と当期利益が4―9月期として3期ぶりの増益。

 一方、池田泉州銀行は米国債償却による含み損処理などから、単体の実質業務純損益が4―9月期として初めて赤字(前年同期は97億円の黒字)。

 各行、長引く低金利環境に収益力の向上や多様化で対抗する。広島銀は非金利収入を重視。同比率は「証券会社の子会社化などで33・6%に達した」(池田晃治頭取)。

 今後は40%超えを目指す。池田泉州銀は事業性貸出金が伸長。「法人顧客取引を伸ばし、手数料収益拡大につなげる」(前野博生取締役常務執行役員)。

 京都銀はコンサルタント機能を強化して「預金と貸し出し両面の拡大、預かり資産の増量、運用利回りの改善に努める」(床本敬三常務執行役員)。

 近畿大阪銀行は「不動産や国際業務など法人ソリューション事業の収益拡大」(中前公志社長)に力を入れるなど各行、法人に対する手厚い営業戦略が収益拡大のカギと言えそうだ。

【九州】構造変化への対応急務
 九州のふくおかフィナンシャルグループ(FFG)と西日本フィナンシャルホールディングス(西日本FH)はマイナス金利の影響による逆風が続く。

 厳しい経営環境をFFGの柴戸隆成社長は「金利の下げ幅は徐々に小さくなっているが、まだ影響は続く」と下期も大きな変化はないとみる一方で、西日本FHの谷川浩道社長は「貸出金利益に下げ止まりの兆しが表れている。最悪期を脱する糸口が見えている」とした。

 17年4―9月期は、ふくおかフィナンシャルグループが傘下の福岡、熊本、親和の3行合算の国内資金利益が719億円と2期ぶりに増加に転じた。貸出量は増加したがマイナス金利による利回り低下をカバーしきれなかったが、有価証券の利息増などで補った。

 西日本FHは傘下の西日本シティと長崎の2行を合算した実質業務純益で減益。谷川社長は「引き続きマイナス金利政策が負の影響を及ぼす厳しい内容」と振り返った。

 また柴戸社長は「この10年で銀行全体の取引件数はざっと3割増えているがネットバンキングなどが飛躍的に増えており、銀行の窓口に来る顧客は3割減っている。この構造変化に対応せねば生き残れない」と強調した。