4−3−3の布陣を採っているなら、なおさらそう。逆三角形の中盤を機能させたいのであれば、パスをスピーディーにつないでいい距離感を保つ努力も不可欠だ。ドルトムントの4−3−3が機能しているのも、自分たちがイニシアティブを握って相手をコントロールしている状況が多いから。高い位置でボールを奪って裏を狙うというハリル流のコンセプトを徹底していくことも重要だが、果たしてそれだけでロシア・ワールドカップを戦い抜けるのか……。経験豊富な香川はハイチ戦に出場した選手全員に共通する疑問を解決するけん引役にならなければならないのだ。

「4−3−3はドルトムントでも長くやっていて、自分自身、感じることはあるので、監督と話してよりよいものにしていかないと。そこを曖昧にしてしまうとホントに痛い目に遭う。そこは監督ともっと分かりあい、温度差を詰めていかないといけないと感じてます。チームは監督を信じてやるのは当たり前だけど、選手たち、チームが感じたことももっともっと徹底しないと。しっかり危機感を持ってやっていきます」と背番号10は改めて監督との意思疎通を密にし、問題解決に当たっていくことを誓った。

 そうやって自らアクションを起こせる選手になってこそ、真のエースに君臨できる。これまでは本田圭佑(パチューカ)、岡崎慎司(レスター)ら年長者に頼りがちな傾向が強かったが、今後は香川真司が真のエースとしてチームの進む道を示し、実際に結果も残さなければいけない。その覚悟がハイチ戦後の強い目力に投影されていた。8カ月後に迎えるロシアでの本番に向け、日本代表を劇的に変える勇敢な香川真司をぜひとも見せてほしい。

文=元川悦子