(CNN) 北朝鮮が、グアム島周辺の海上を狙ってミサイルを発射する計画を検討中と発表した。ミサイルが発射された場合に備えて、米国も迎撃を検討している可能性が大きい。だが専門家は、米軍が北朝鮮のミサイルを撃墜できる保証はないと指摘している。

北朝鮮の朝鮮中央通信は10日、グアムを狙って中距離戦略弾道ロケット「火星12」4発を同時に発射する計画を検討していると伝えた。

米シンクタンク、アメリカ進歩センターのアダム・マウント氏は、米軍が北朝鮮の飛翔体を阻止するために、高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)やイージス駆逐艦を使用する可能性があると予想する。

「もしも米国の領土に着弾しないと確信できれば、そのまま海上に落下させることもあり得る。だが撃墜することも真剣に検討していると思う」とマウント氏。

北朝鮮は、グアム島から40キロ以内の海上にミサイルを落下させると予告した。国際法上、この海域は米国の排他的経済水域だが、米国の領海ではない。

グアム攻撃の威嚇に対し、グアムを管轄する国土安全保障担当補佐官は、「米(国防総省)はグアムと周辺地域だけでなく、米本土も防衛できると強く確信している。弾道ミサイル防衛には複数の層が存在する」とCNNに語っていた。

しかし米シンクタンク、ランド研究所のブルース・ベネット氏は、ミサイル防衛をテストするかどうか最終的に判断するのはトランプ大統領だと指摘する。

「これは実験的なシステムであり、外れる可能性も当たる可能性もある。確信は持てない。携帯電話でさえ、THAADよりもずっと多くの実験が行われているのに、それでも携帯電話が破裂することもある」(ベネット氏)

ミサイル撃墜を試みること自体、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の思うつぼかもしれないとベネット氏は言う。たとえ1発でも外せば、米軍の体面に傷がつくからだ。

米国が北朝鮮とグアムの間でミサイルを迎撃しようとすれば、ミサイル防衛の選択肢は主に2つある。

韓国に配備されたTHAADでは、グアムに向けて発射されたミサイルは撃墜できない。しかしレーダーでミサイルを早期に検知することは可能だ。

THAADはグアムにも配備されており、これで北朝鮮から飛んで来るミサイルを撃墜できる可能性はある。

「このシステムは複数の標的を同時に迎撃できるので、極めて現実的だ」とベネット氏は話す。

ただし、実効性は標的とするミサイルとの距離にかかっている。THAADの最長射程は200キロ。「それに近づくほど、システムの性能にストレスがかかる」(ベネット氏)

イージス弾道ミサイル防衛システムを装備した駆逐艦を使って、ミサイルが地球の大気圏に再突入する前に撃墜する手段もある。

「米国がイージスシステムをグアム周辺に配備して、二重の防衛態勢を取る可能性もある。しかしそれも大統領が決断することだ」とベネット氏。

ハワイパシフィック大学のカール・シュスター教授によれば、イージスを搭載した駆逐艦1隻で、恐らく2発のミサイルを撃墜できる。

米国は以前から、国土を脅かすミサイルに対する防衛能力を誇示してきた。北朝鮮のミサイル実験を受け、米軍は5月と7月にミサイル防衛システムの実験を実施。だが1回については失敗を認めている。

グアムに向けて複数のミサイルを発射するという北朝鮮の脅しは、米国が誇示するミサイル防衛能力を意図的に試す狙いがあるのかもしれないとマウント氏は予想する。

「北朝鮮がミサイル4発を発射すると脅しているのは偶然ではない。意図的に米国の政策決定を難しくさせている」と同氏は述べ、もし4発のうち1発でも米国の防衛を突破すれば、北朝鮮にとっては大勝利だと指摘した。

「米国がもしミサイル撃破を試みるとすれば、全弾の撃破を望むだろう。全弾を撃破できなければ、米国の能力の限界と、システムの不完全性を見せつけることになる」

ただ、北朝鮮は米国の失敗を望んでいるかもしれないが、たとえミサイル防衛に失敗したとしても、大問題にはならないとベネット氏は予想する。

「このシステムが北朝鮮のミサイル撃墜のために使われたことは、これまでなかった。初めてそれを要求されて、成功できばそれは素晴らしい」「もしできなかったとすれば、ソフトウェアかシステムに何らかの不具合があるのかもしれない。それは戦時中ではなく平時に見付ける方が望ましい」。ベネット氏はそう語っている。