外見が好みじゃない彼でも付き合える?見た目にまつわる心理学

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『アーティスト』でオスカーに輝いたジャン・デュジャルダン主演のラブコメディ『おとなの恋の測り方』が6月に公開されました。

離婚後、恋から遠ざかっていた弁護士のディアーヌはある日、失くした携帯を拾ったという男性から連絡を受けます。
ユーモアあふれる彼とのおしゃべりが楽しく、興味をそそられた彼女は誘われるまま会うことに。

デートの場所に訪れた拾い主アレクサンドルは、なんと身長136cmの男性でした。

■見た目が気になる心理


最初は驚いたものの、才能ある建築家でウィットに富んだアレクサンドルに、ディアーヌはどんどん惹かれていきます。

でも、デートを重ねていく中で元夫に「白雪姫」とからかわれ、食事をすると周囲のテーブルから笑われて…世間の目が気になり、情緒不安定になるディアーヌ。

そんな彼女の様子に気づいて「無理なんだね」とアレクサンドルは別れを告げ…。

アレクサンドルはちょっと極端な例ですが、誰しも何らかの個性を持っています。
特に「見た目」は第一印象を司る重要なファクター。見た目の個性をプラスに捉えられる人は自信につながるし、マイナスな人は劣等意識に結びつきやすいでしょう。

プラスであれマイナスであれ、個性と個性が結びついたときにカップルとして独自のスタイルができあがります。
このようにして生まれた「自分たちのスタイル」を、世間がどのように思うのか。誰でも一度は気にかけるはずです。

もちろんその結果、「私たちは私たち」と捉えられるカップルもいるでしょう。
けれども、中にはそうは思えず、どうにも気になってしまう人もいます。

私たちはなぜ「第三者の目」が気になってしまうのでしょうか。

■社会とつながっていたい私たち


人は、様々な行動や行為を通して「社会とのつながり」を求める生き物です。
社会と関係する上で、できれば他者から「好意的なまなざし」を向けられたいと願うもの。

自分の「見た目」や「行動」に対して他者から親愛や共感の念を多く得られれば、それだけ社会に対してつながりを感じられます。

そうやって他者の「承認」を得て、自分の居場所を見出し、安心するんですね。
このように自分も世間(あるいは世間的ルール)に属している、という安堵感を得ることを、心理学用語で「帰属欲求」といいます。

■向き合うべきは自分の「見栄」


しかし、実際は「帰属」しなくても他者の「承認」を得ることはできるのです。
「これが私たちなのだ」と割り切り、且つ本人たちが幸せであれば、案外、他者は何も言いません。

もちろん、受け入れられない人から心無い差別を受ける可能性はありますが、大部分の人は
「本人たちがそれでいいのであれば、よいと思う」
という結論に至るでしょう。

結局のところ「他者の目」を意識しすぎる人は世間を気にしているようで、その実、自分の「見栄」を気にしているにすぎないのです。

自分がどう見られているのか、を気にしてしまうのは自然な心理。ですが、恋愛とは二人でするものです。
その相手としか生み出すことのできない恋を、他者がどう言おうと自分が大切にしたいと思えるかどうか。見定めるべきポイントは、結局そこです。

自分の「見栄」を大事にしたいなら、それまでの恋。
「見栄」を満足させることができる外見、ないし内面の相手を探すべきです。

自分の「見栄」よりも相手が大切なら、これが私たちだと割り切って、周囲が承認するのを待ちましょう。

■まとめ


見た目についての心理学、ご理解いただけましたでしょうか。

あまりに突出した個性の場合、世間から孤立してしまうケースもあるでしょう。
そういう場合は、世間から共感・共鳴を得られないという孤独感を、二人でしかつかめない幸せへと還元していく気概があるかどうかが重要になります。

もし二人にその気概があるなら、運命の相手とも言うべき堅固な絆が築けるでしょう。

ライタープロフィール


黒木蜜
一般企業に勤めながら執筆した作品が日本文学館のオムニバス本に掲載され作家デビュー。古事記への造詣が深く、全国300ヶ所以上の神社紹介記事を執筆。現在、古事記の観点から紹介する神社コラム/恋愛コラムなども手がけている。
黒木 蜜〜中今の詩〜