「看護師です。夜勤が週1回か2回、月によっては日勤と夜勤の中間の準夜勤もあります。寝る時間も起きる時間もバラバラで、どうも最近、熟睡感が感じられず、疲れやすくなってきました。夜勤明けにもちゃんと眠りたい! アドバイスをお願いします」という看護師2年目のリョウコさん。

シフト制勤務者の多くに聞かれる悩みです。睡眠コンサルタントの友野なおさんに聞いてきました。

シフト制勤務を乗り切るのに必要な光と食事

私たちの脳には、体内時計と呼ばれる時計が存在しています。体内時計は、睡眠・覚醒のみならず、体温・血圧・心拍・神経活動・ホルモン分泌・糖代謝・脂質代謝・免疫機能など、生命活動を維持し、調整するために必要なさまざまな生理機能をコントロールしています。

体内時計のリズムは、ふつう自動的に外界のリズムに同調するため、人間や多くの動物は日が昇り、日が沈むまでを「活動期」としていて、日没から日の出までを「休息期」としているのです。

したがって、朝起きて、夜眠る生活が自然体なのですが、質問者さんのようにシフト制のお仕事をされている人もたくさんいらっしゃいます。そこで、夜勤がある方におすすめしたい快眠のポイントをご紹介しましょう。大切なのは、光と食事のタイミングの調整です。

夜勤明けは寝室を夜空間に作り上げる

まず、夜勤明けの朝の過ごし方。たとえば7時までの夜勤としましょう。夜勤明けはすぐにでも横になりたい方も多いと思いますが、ヨーグルトやバナナなど、なるべく消化のよいものを少しお腹に入れましょう。そして12時〜13時頃までゆっくり眠ってください。

このとき重要なことは、部屋をなるべく夜と同じ環境にすること。遮光カーテンを使い、光を完全にシャットアウトするのがおすすめです。暗くすることで脳に今は夜だと錯覚させ、眠りモードに切り替えるためです。

光を遮るという意味では、夜勤明けの帰り道ではサングラスをかけるなどして、日光をなるべく目に入れないようにすることも非常に大事になります。

また、就寝時に音が気になる場合はシャッターを閉める、耳栓をするなどの対策をとり、できるだけ夜の静けさを再現できるように工夫しましょう。

起床後は明るい環境下で、しっかりお昼ごはんを食べます。卵や大豆、魚、お肉など、タンパク質をたっぷり摂りましょう。単品よりも定食のような一汁三菜、バランスよく食べるように意識してくださいね。

昼食後は、夜勤が続くのか休日を迎えるのかなどによって過ごし方はかなり変わりますが、仮に翌日がお休みの場合は、なるべくアクティブに過ごしましょう。友だちに会ったり、買い物に出かけたりして、なるべく外に出て太陽の光を浴びてください。午後も眠ってしまうと、今度は夜の主睡眠に悪影響が及ぼされ、体のリズムが乱れてしまいますから要注意です。この日の夜は早めに眠気が訪れるかと思います。夜勤明けの日は、眠いなと感じたらソファでうたた寝などはせず、ベッドに入って眠るようにしてくださいね。

夕飯に関しては、日勤者同様、就寝3〜4時間前までに食べ終えておくことが大切です。

深部体温の上昇は快眠を妨げるので、消化に負担がかかるものや遅い時間の食事などは避けるようにしましょう。

夜勤を長期間、続けることは心にも身体にも負担をかけ、健康にも影響を及ぼすことがわかっています。光をコントロールしたり、食事のタイミングを整えたりすることで、できるだけ体のリズムを乱さないような生活リズムを維持することを心がけてください。また、夜勤の間に仮眠をとるなどの対策も取り入れ、無理をしないように心がけてくださいね。

夜勤明けは帰宅してバタンキューではなく、軽くお腹に入れてから寝ましょう。



■賢人のまとめ
夜勤明けは目に光を入れないよう気を付けて帰宅し、部屋を真っ暗にして就寝すること。昼ご飯は明るいところでしっかり食べて、翌日お休みの場合はアクティブに過ごしましょう。

■プロフィール

睡眠の賢人 友野なお

睡眠を改善したことにより体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。
科学でわかるねむりの環境・空間ラボ主宰。著書に『やすみかたの教科書』(主婦の友社)など。