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text:Yasuhiro Ohto(大音安弘) photo:SUBARU

「アイサイト・ツーリングアシスト」とは?

スバルは、この夏発売のレヴォーグ/WRX S4への搭載を予告している先進安全運転支援システム「アイサイト」の新機能「アイサイト・ツーリングアシスト」のメディア向け体験試乗会を実施した。


「アイサイト・ツーリングアシスト」は、高速道路(自動車専用道路)上の全車速でハンドル、アクセル、ブレーキを統合自動制御する運転アシスト機能で、ユーザーに「安心・安全に使え、疲れないクルマ」の提供を目指したものだ。

メカニズムはアイサイトVer.3と同様だが、

・全車速追従クルーズコントロール(ACC)
・アクティブレーンキープ

の2つの機能を組み合わせ、それぞれの機能を強化し、全車速対応することで、新機能を実現させている。具体的には、ACCの作動領域を0km/hから120km/hまで拡大。上限速度が高められているのは、近い将来に実現させる高速道路の上限速度向上に対応するためである。一方、アクティブレーンキープは、従来型の60km/h〜100km/hに限定させていたものを、0km/h〜120km/hまでの全車速対応に進化。さらに従来の白線認識による車線内維持機能に加え、0km/h〜60km/hの領域での前走車認識による追従走行機能も追加している。
 

自動制御キープがスバル流 “実走” 体験レポート

開発では、作動時は自動制御を極力やめないことにこだわったという。このため車線認識を工事などで車線(区画線)が片側しかない道路状況にも対応するように改良したほか、渋滞時など前走車により区画線が隠れてしまうような状況では、車線認識と前走車認識を組み合わせることで対応。さらに区画線自体が失われている道路やトラックなどの大きな車両で区画線が隠れてしまう状況では、前走車認識だけで、車線内維持を行う。

もし道路状況により機能がOFFとなってしまった場合も作動条件が整い次第、早急に復帰するようになっているという。

体験レポ 「アイサイト・ツーリングアシスト」は積極的?

今回、テストコース内にて「アイサイト・ツーリングアシスト」機能を試す機会も与えられた。

操作方法は、従来のアイサイトと同様にステアリングボタンのみで完結するので、使いやすさはそのままだ。強化されたアクティブレーン機能は、積極的な車線中央維持のステアリング制御を行うことに加え、その制御も自然で滑らか。まるで人間が操舵しているかのように、スムーズにステアリングを切っていく。コーナーも綺麗にトレースできていることにも驚かされた。やはり角度のきついコーナーは適応外となるようだが、高速道路上のコーナーなら、まず問題ないようだ。
 

急な “割り込み” には?

またリアルワールドで安心して本当に使える機能を目指したというだけあり、高速道路上で経験する走行車線内への他車の合流や車線変更も考慮したチューニングを行っているそうで、先行車に目前に入る車線変更を行ってもらったが、素早く先行車を認識し、スムーズに減速することが確認できた。



さらに渋滞時のノロノロ走行や車線がない状況の先行車追従走行も試してみたが、どちらもそつなくこなしてくれた。これならば渋滞からクルージングまでアイサイトのサポートが受けられ、ドライバーの負担をこれまで以上に軽減させることができるだろう。個人的には、作動表示の分かりやすさもアイサイトの美点と感じているが、その点もしっかり受け継がれており、新機能の先行車追従走行時は、追従車両をロックオンした表示がでるのも分かりやすく好感が持てた。
 

新型レヴォーグ、WRX S4には標準装備

アイサイト・ツーリングアシストは、この夏発売予定の新型レヴォーグ、WRX S4に全車標準化を皮切りに、将来的にはスバルの全車種(一部スポーツモデルを除く)への標準化を目指していく。


スバルでは、先進運転支援機能・安全機能は普及してこそ、意味があると考えており、価格も手ごろとする方針だ。