暑くなる季節は食べ物の保存に気をつけて(写真と本文は関係ありません)

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気温や湿度が上昇するこれからの季節、家庭では食料の保存に気を配らねばならない。食中毒を防ぐ点で重要だが、腐ったりふやけたりした食べ物を長く放置すれば害虫がわく恐れがある。

ハエやゴキブリのように病原菌をまき散らすような害虫ではないが、いつの間にか大量に発生し、家の中を飛び回る厄介者がいる。「シバンムシ」と呼ばれる小さな虫だ。

食器棚の引き出しを開けたら悪夢の光景が

「あれ、カーテンに汚れが付いてるな」

記者が取り除こうとすると、モゾモゾと動いた。「虫だったのか」と思いつつ捕獲。しばらくすると、室内を「プーン」と何かが飛んでいるのに気付いた。壁にとまったところで、また退治する。気がつけば、これを何度も繰り返していた――。数年前の初夏、引っ越した先での記者の経験だ。

1匹駆除しても、次から次へと現れる。しかも、目に見えるか見えないかのサイズなので、実際に何匹いるか分からない。大きな害がないとはいえ気が散るし、徐々に気味が悪くなってくる。しかも、日を追うごとに室内を飛び回る数が増えていった。

これは退治するしかない。あちこちを掃除しながら、台所の食器棚の引き出しを開けて絶句した。茶色っぽい1ミリ程度の甲虫が、数えられないほど動き回っていた。たとえ小さくても、これだけわいている光景は「見なかったこと」にしたいほどの悪夢だ。まずは虫をすべて駆除し、中に入っていた食品を処分。引き出しを消毒したうえで天日に「虫干し」した。さらに、燻煙式の殺虫剤を使って念を入れた。なにしろ虫の正体も駆除法も分からないので、できることは徹底的に試した。

落ち着いた後、虫の正体を調べてみた。特徴からみてどうやら、シバンムシに間違いない。シバンムシは多種だが、人家にわくのは主に「ジンサンシバンムシ」と「タバコシバンムシ」だ。アース製薬のウェブサイトによると、どちらも「かじる力が非常に強く、加工食品の包材に穴をあけて侵入するので、異物混入の原因にもなります」とある。こうした食品を食べて、知らないうちに虫が口の中に入ったらと思うとゾっとする。漢字で「死番虫」とつづるというから、いっそう不気味だ。

「ゴキブリより厄介なやつ」と嘆き

アース製薬のサイトにも「乾燥植物質のものを好み、乾麺、菓子類、穀類、ペットフード、生薬など、幅広く食害します」とある。

シバンムシがわいていた記者の食器棚の引き出しには、いったん封を開けて一定量を使ってから輪ゴムでしばるなどして保存していた食品が2、3あった。これらが元凶と思われるが、特定はできなかった。どの食品の中にもシバンムシはいなかったし、袋や紙パッケージに穴が開いている形跡も目視では確認できなかったからだ。いまだに不思議だが、この引き出しにしか大量発生していなかったのだから、ほかの場所は考えられない。もともとこの家にいた虫が増えたのか、引っ越しのタイミングで外から「連れてきた」のかも不明だ。

その後、防虫を心がけて食品の保存を徹底した効果か、幸いにもシバンムシがわくことがないまま、別の家に引っ越した。

ツイッターをみると「シバンムシに悩まされている」「ゴキブリより厄介なやつ」「とうとうこの季節がきたか」と、困っているツイートが少なくない。