タカタ・高田重久会長兼社長(写真:ロイター/アフロ)

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 電子情報技術産業協会(JEITA)の集計によれば、民生用電子機器の2016年度国内出荷は6年ぶりの前年比プラスとなった。スマートフォン(携帯電話)やパソコンも堅調で、日本半導体製造装置協会(SEAJ)の集計でも半導体製造装置、FPD製造装置販売は好調な動きを示す。

 個別企業においては、17年3月期の上場企業決算発表が続く。こちらも概ね好調であり、なかでも自動車やスマホ向けに半導体など電子部品や自動車部品加工メーカーなどは活況で、従来予想を最終的に上回って業績を着地させるところが少なくない。

 しかし、それでも例外はあり、この時期でもさらに業績を悪化させている企業は少なからずある。それは個別企業の事情を背景とした例外的な傾向なのか、それとも取り巻く環境のなかに普遍的な悪化の材料が実は隠れているのか、いくつかの業績悪化企業を採り上げ、考察したい。

●自動車エアバッグのタカタ

 エアバッグの大手、タカタの17年3月期業績は3期連続の最終赤字で、最終損失は795億8,800万円となった。16年3月期の赤字は130億7,500万円だったから、損失幅は6倍に広がる。財務面も悪化しており、16年3月期に27.5%だった自己資本比率は、ついに7.0%にまで低下した。純資産は331億円にまで低下しており、今期の決算内容によっては債務超過転落の可能性も否定できない。

 いうまでもなくタカタの躓(つまず)きは、エアバッグの大量リコール(回収・無償修理)である。かつては磐石とも思える企業業績だったが、安全性という根幹的なリスクが顕在化すると、これまでに積み上げてきた信用は一気にあっけなく失われる。東京電力も同様のケースだが、安全性という観点では「何が起こるかわからない」という危機意識が必要となる。

 ちなみに本稿執筆時点では、タカタの再建をめぐって複数のスポンサー候補などの名前が挙がっているが、取引先などが求める法的申請による経営再建手法をタカタの経営陣および創業家は拒否しており、難航している。

●パチンコ・パチスロ機のフィールズ

 フィールズはパチンコ、パチスロ機など遊技機の販売大手で、販売だけでなく自身で企画、開発も手がける。パチンコ・パチスロ市場は、スマホゲームの台頭などを背景に市場の停滞感が強く、フィールズの17年3月期は124億8300万円の最終欠損となった。フィールズとしては、実に09年3月期以来8年ぶりの欠損転落である。

 フィールズの欠損転落は、ヒット機種がなかったことや、新機種の投入などずれ込みもあるが、やはり市場全体の停滞感が大きい。

 パチスロ機市場は、14年に実施された型式試験方法の変更に端を発した規制から市場の縮小傾向が続いており、さらに16年についていえば、同年5月に開催された伊勢志摩サミットの際に業界が機器の入れ替えを自粛したこともあり、厳しい1年となった。ちなみにフィールズの調査では、17年3月期における遊技機器市場全体の総販売台数は前年比で15%減少して248万台前後だったとみている。市場全体が2ケタの縮小となると、やはり個別企業は影響を受ける。

 フィールズとしては、今後はパチンコ・パチスロ市場向けではホールとの連携強化を図る一方、IP(知的財産)の育成や映像・開発受託・ゲームなどへの取り組みを進めて打開を図っていく動きとなっている。

●液晶ガラス基板の倉元製作所

 倉元製作所は、液晶用ガラスにカラーフィルタやITO(酸化インジウム錫)膜など成膜を貼り付ける加工を行う液晶ガラス加工メーカーだが、16年12月期業績は3期連続の欠損となっている。

 同期についていえば、売上高は対前期比で半分以下にとどまっており、最終損失も20億円にまで膨らんだ。減収については、精密研磨布事業からの撤退という背景もあり、経営再編のなかで一概に大きく落ちたとはいえない状況ではある。また利益面でも、経営再編のなかで一時的な減損損失や人員削減費用を計上しているという事情もあるが、いずれにしても経営規模が大きく縮小して、3期連続の赤字となっていることは事実である。

 事業展開への模索も続くが、倉元製作所が手がける液晶基板の最終用途先はスマホやタブレット端末など中小型向けが多く、スマホへの有機ELの搭載が始まるとみられ、市場環境は厳しい状況が続く。

 ちなみに当面の経営立て直しとして、倉元製作所ではこれまでに16年12月に三重工場(三重県津市)を閉鎖する一方、希望退職募集により国内単独全体従業員の3割余に相当する108人の人員削減を実施するなど大がかりな再編に踏み出している。
(文=高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役)