内田篤人が16日のダルムシュタット戦でベンチ入りを果たした。リーグ戦でのベンチ入りは実に2015年4月11日のフライブルク戦以来のこととなる。だが残念ながら、ダルムシュタット戦で出場機会は訪れなかった。

 試合後のミックスゾーンで「このベンチ入りは前進なのか?」という質問が投げかけられると、内田はこう答えた。

「まあ入らないよりはいいですからね。ちょっとずつこう……いつぶりかも覚えてないけど」

 少し自嘲的な笑みを浮かべながらも、「前進に決まっているじゃないか」というニュアンスで、やんわりと質問をかわした。


ダルムシュタット戦でリーグ戦では2年ぶりにベンチ入りした内田篤人 3月にハノーファーとの練習試合で90分間出場を果たしてから1カ月弱。今回はベネディクト・ヘヴェデスの負傷やマティア・ナスタシッチの出場停止などがあってのベンチ入りだった。とはいえリーグ戦でベンチ入りしたということは、当然、出場の可能性があるということ。消化試合だった12月のヨーロッパリーグ(EL)ザルツブルク戦とは全く意味合いが違う。ようやく戦力として見なされるところまできたというわけだ。

「よかったよ、一応メンバーに入れたのは。試合ができると監督が思ってくれているということだから」

「監督から使える選手だと認識されることがやはり重要?」と、合いの手を入れてみる。

「そうそう。俺がいくら口で言っても……(プレーで示さないといけない)。監督は練習をちゃんと見てるから、100パーセントできる状態じゃないと使わない」

 久々のリーグ戦ではあるが、すでに練習には完全復帰している。この日は出場には至らなかったということもあり、特別な感慨はなかったようだ。

「出たいは出たかったけどね。練習をやってく中で自分がちょっとずつやれるなという部分もあるけれど、長い間休んでいたから、(まだ時間がかかる)という部分もあるし。そこらへんは時間と自分の練習の質と量だから。自分がケガして自分が問題を抱えたのだから、自分で解決していかないと」

 リーグ戦は残り5試合。ELも結果次第でまだ試合が残っている。次なるステップは形式だけでない戦力としての試合出場となる。現実的にそれはいつごろになるのか。試合スケジュールを見ながら内田は目標を定めようとしている。

 ELでは今週、アヤックスとホームで対戦する。アウェーの第1戦は2-0で敗れており、タフなゲームになるのは間違いない。続いて行なわれるリーグ戦の相手はライプツィヒ、さらにレバークーゼン戦と、難敵との試合が続く。

「大事な試合が続くから、ディフェンスをコロッと変えるのは監督としても(難しい)ね。
俺は2年 やってないから、(マルクス・ヴァインツィアル監督は)対戦相手としてはやっているけど、俺のことを(シャルケの監督としてはあまり)知らないというのもある。それが今までと違うね。以前は監督が変わってもスタッフは変わらなかったりしたから、離脱していても俺のことを(新監督に)伝えてくれていたりもしたけれど、今季はスタッフがみんな変わっちゃったから、誰も俺のことはあまり知らない。言ってみればまっさらな状態」

 強豪との対戦が終わって「狙うのはその次あたり」と、冗談めかして言う。

「レバークーゼンの後はどこだっけ? そうやって考えながらやっていきますよ」

 ラスト3節はアウェーでフライブルク戦、ホームでのハンブルガーSV戦、そしてアウェーでのインゴルシュタット戦と続く。

「スタメンは狙っているけど、一緒に練習する時間とか、タイミングがあると思うので、そこを自分で投げ出さずにしっかりやる」

 先発出場してこそ、ディフェンダーとしての本当の復帰であることは本人もわかっている。だがこの日のリーグ戦ベンチ入りは、小さくとも確実な一歩だった。

「いちおう前に進んでいると思う。俺はやれると思う。タイミング次第。それが今シーズン、5試合のうちにあるか」

 最後は自分自身に言い聞かせるように言った。

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