2011年に「地域主体経営」、2013年には「ビジネスユニット制」を導入するなど、地域に根差した「もっといいクルマづくり」の推進や、現地現物に基づく「人材育成」に取り組んできたトヨタ自動車

<ビジネスユニット制>

レクサスインターナショナル(レクサス事業担当)
第1トヨタ(北米・欧州・日本担当)
第2トヨタ(中国・豪亜中近東、アフリカ、中南米担当)
ユニットセンター(ユニット事業担当)

しかしながら、仕事の進め方は従来の延長線上にあり、従業員や関係者の頑張りに頼っている部分が多く、また機能間の調整に時間を費やす傾向が顕在化していたそうです。

そこで同社は2016年3月2日、全社的な体制変更を発表。仕事の進め方を変革することを狙いに、2016年4月18日付で従来の「機能」軸ではなく、「製品」を軸とする7つのカンパニー制を導入しました。

「先進技術開発カンパニー」
「トヨタコンパクトカーカンパニー」(トヨタ自動車東日本)
「ミッドサイズヴィークルカンパニー」
「CVカンパニー」(トヨタ車体)
「レクサスインターナショナルCo.」(トヨタ自動車九州)
「パワートレーンカンパニー」
「コネクティッドカンパニー」

「製品」軸で仕事を回すことにより、機能の壁を壊して調整を減らし、全ての仕事を「もっといいクルマづくり」と、それを支える「人材育成」に繋げていくことが体制変更のポイントになっており、これにより、責任ある立場のリーダーが現場に近いところで物事を決められるようにしたという訳です。

新体制への移行に際し、豊田章男社長は「組織改正はソリューション(解決策)ではなく、オポチュニティ(変革の機会)」と説明しています。

その後も、1年間取組んだ中で新たに出てきた課題を踏まえ、2016年12月に社内ベンチャー「EV事業企画室」、2017年1月にトヨタとダイハツによる「新興国小型車カンパニー」、さらに4月には「GAZOOレーシングカンパニー」を発足させるなど、「仕事の進め方変革」を続けています。

その背景には会社の規模拡大に伴い顕在化してきた2つの大きな課題を解決しなければ、持続的成長は無いという危機意識があるそうです。

その課題とは、「現地現物」で「即断・即決・即実行」できるリーダーを数多く育成していかなければならないこと、そして機能間の調整に費やす時間をさらに削減する必要があること。

豊田社長は、「年間の生産/販売が600万台の時代と1,000万台の現在では仕事の進め方を変える必要があると感じている」「トヨタは組織の機能の強さで成長してきたが、機能間の調整が増える中で、意思決定の実行やスピードが遅くなっている」とコメントしています。

1937年の創立から80周年を迎えたトヨタ自動車は、今後もこうした組織変更を機に、クルマに例えて言うなら「大型車ながらもコンパクトカー並みの機敏な運動性能を身に付ける」ための変革が続くことになりそうです。

(Avanti Yasunori・画像:トヨタ自動車

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