毎日、職場と自宅の往復では新しい出会いも限られてしまう。職場で毎日顔を合わせるうちに、同じ会社の人を好きになってしまうのも無理はない。

実際、社内恋愛を経験している人は多い。ネット通販のフェリシモが調査したところ、既婚女性の半数が社内恋愛を経て結婚しており、独身女性の6割も社内恋愛を経験しているという。「仕事や会社の話が通じやすい」「出会いの機会が減っているので」などの理由から社内恋愛は良いものだと感じている人は7割にも上る。

しかし、中には社内恋愛を禁止にしている企業もあるようだ。ツイッターには「うちの会社、社内恋愛禁止なんだ」「うちの会社は社内恋愛禁止だぞって言われた」などの投稿が寄せられている。

社内恋愛禁止を破ると「ペナルティは実名での全店FAX」


Q&Aサイトにも似たような相談があった。同じ職場の女性と交際しているという40代の男性は、「社内恋愛が発覚すると、業務に支障をきたしていなくとも、基本的に異動を伴う転勤になる事が通例です。降格・減給も伴う場合があります」と悩んでいる様子だ。数年間、会社に隠して交際を続けたが、社内で噂が流れ、とうとう上司に呼び出しを食らったという。

ツイッターでは、「社内恋愛禁止」に対して、「そんな個人的な事まで会社に命令される謂れはナイ」と腹を立てる人もいた。「社内恋愛の末、早々に妊娠、結婚退社があまりにも多かった」という理由で禁止令が出たという投稿もあった。それにしても「ペナルティは実名での全店FAX」というのはあまりにもひどい。

首都圏青年ユニオンの山田真吾事務局長によると、やはり「社内規定などで社内恋愛を禁止している企業はある」という。

「幸い、社内恋愛禁止のルールを破って処罰されたという相談者はまだいません。ただ美容室や理容室、パチンコ店などで社内恋愛を禁止にしているところはあります。会社としては『別れたときに気まずくなってどちらかが辞めると困る』という言い分のようです。でも社内恋愛の禁止なんてありえないですよね」

社内恋愛の禁止は「人格権の侵害に当たる可能性がある」

東京法律事務所の笹山尚人弁護士によると、

「社内恋愛の禁止は、業務と直接関係がないため、労働契約法に定められた人格権の侵害に当たる可能性がある」

という。

恋愛禁止は業務とは関係がなく、恋愛禁止の規定そのものが労働契約法に抵触する可能性がある。ルールを破った場合に、転勤や減給をすると定めていてももちろん効力はもたない。

いくら会社が社内恋愛を禁止しても、恋愛はあくまでも個人の自由。ただし周囲の同僚への配慮は忘れないでいたいものだ。かつて社内恋愛禁止の職場で働いていたという人は、

「別にそんなんどうでもええやろぐらいにしか思ってなかったけど、いざ社内恋愛が禁止されてない職場に来たら仕事中に社内でキャイキャイしてるカップルとフロアの雰囲気が凍りつく瞬間に遭遇してなるほどなぁと」

と書き込んでいた。節度を持って楽しんでほしいところだ。