耳すまの丘からの風景(聖蹟桜ヶ丘駅周辺)

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 市町村や商店街が地域の活性化のために企画する「町おこし」企画。企画を通して多くの観光客が訪れ、地域のPRや経済効果につながればと期待されるものだが、なかなか成功する例が少ないのが現状だ。

 そんな中、企画の段階から全国から注目を浴びている町おこし企画があるという。それが京王線聖蹟桜ヶ丘駅周辺で行われる「『耳をすませば』町おこし」企画なのだ。

 日本アニメ界の巨匠、宮崎駿氏がプロデュースし、近藤喜文氏が監督したスタジオジブリのアニメ映画『耳をすませば』が封切りされてまもなく10年。その映画の舞台とされたのが、東京都多摩市の京王線聖蹟桜ヶ丘駅と多摩ニュータウン周辺の新興住宅地なのである。

 映画の中には実際にある坂や丘などの風景も多数描かれていて、ファンの間では名所として有名だという。封切り10年というメモリアルな時期に、何か映画にちなんだイベントを企画したいということで、多摩大学の講師や生徒が中心となって動き出したのがこの企画の始まりだという。

 「もともと自分が担当しているプロジェクトゼミの履修生が中心になって立ち上げた企画なんですよ。聖蹟桜ヶ丘駅周辺の商店街を活性化する目的で、まちおこしのイベントとして企画したんです。商店街の方々も『まちが元気になれば』と賛同してくださったんですよ」と多摩大学の非常勤講師で同企画・運営の代表者でもある大川新人さんは語る。

 イベントでは7月17日(日)の『耳をすませば』10周年記念上映会や、7月15日(金)〜18日(月)にかけて行われる『耳をすませば』の世界〜聖蹟桜ヶ丘を舞台にした背景画展示会〜、『耳をすませば』ロケ地ツアーなど、ファンならずとも楽しめるイベントが多数行われる予定。全国の「耳すま」ファンから問い合わせが殺到して、予想外の反響にうれしい悲鳴を上げているという。さらに開催前にも関わらず多数のメディアから取材の申し入れがあるなど、町おこしという意味でも上々の滑り出しといえそうだ。

 「イベント後の反響によっては今後継続した事業につなげていきたいですね」と語る大川さん。映画にちなんだ町おこし企画、これからますます話題となっていきそうだ。(文/verb)

取材協力:「耳をすませば」10周年記念上映会実行委員会
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