東大首席エリート実践! すらすら頭に入る「7回読み勉強法」

世の中には最短の勉強時間ですらすら覚えられる人もいれば、何度も徹夜して頑張っても結果が出せない人がいる。どこに違いがあるのか。“勉強の達人”である山口真由さんに、ビジネスに生かせる勉強法を教えてもらった。

山口真由●東京大学在学中の3年生時に司法試験合格。4年生時に国家公務員採用I種試験合格。2006年に東大法学部を首席で卒業後、財務省に入省。大手弁護士事務所にて企業法務で活躍後、16年にハーバード大学ロースクール卒業。
(写真=PIXTA)


■ステップ1:すらすら頭に入る「7回読み勉強法」

▼レッスン1:毎回同じように読むことで記憶が定着

記憶を定着させる基本は、同じものを何度も見たり読んだりして、「繰り返し」て覚えることだ。山口氏によると、しっかり記憶させるために必要な回数は「最低7回以上」だという。「どんな情報も7回以上読むことで、記憶が脳に自然に定着していくのです」(弁護士・山口真由氏)。

そして、その繰り返しを実践するうえで大切なのが、「同じように読むこと」。記憶を定着させる秘訣は、何を読むにしても、読み方を一定に保つことなのだ。たとえると、高い生産効率を誇る自動車工場で機械が規則正しく一定に動くように、テキストなど覚える必要があるものを読むリズムを一定に保つ。そうすることで、繰り返しのハードルも下がる。

最初の数回は、ただ流して読むだけでいい。メモを取ったり、線を引く必要は一切ない。「この方法だと、驚くほど速く読み終えるはず。私の場合、300ページほどの本なら、30分程度で読み終えます」(山口氏)。

どの本も同じペースで読む。また、ページをめくるときのしぐさも、たとえば「本の下部3分の1のところを親指と人差し指で摘んでめくる」などのようにルールを決めると記憶力が上がる。

▼レッスン2:優先順位は、読む→聞く→話す→書く

ものを覚えるときの作業としては、「読む」「聞く」「話す」「書く」という4つの作業がある。最も作業スピードが速いのは「読む」だが、それにくらべて「書く」の作業スピードは格段に遅い。

「ものを記憶する場合、身体の器官を多く使うほうが覚えやすいので、読む・聞く・話す・書く、の4つすべて活用するのが理想ですが、それぞれスピードが違います。ビジネスはスピードが大事ですから、目的に合わせて最速の組み合わせを選ぶ必要があります」(山口氏)。

何かを丸暗記するには、「話す」「書く」は欠かせないが、大半のビジネスシーンで丸暗記は必要ない。テキストや資料など何らかのものを参照しながら仕事を進めているはずだ。こうした記憶でよければ、勉強法は「読む」だけでほぼ大丈夫だと山口氏は言う。一つの事柄につき最低7回読むことを目標にすればいい。

ところで、最近のスピーチやプレゼンでは、原稿を見ないで説明するのが主流だ。この場合、「話す」を繰り返すことで覚えられる。「7回以上」原稿を読んだあとは、話す内容のポイントだけを箇条書きにしたメモだけ用意して本番に臨めば、大抵は失敗しない。

▼レッスン3:「記憶のゆがみ」をなくすメンテナンス法

いったん覚えた知識も、そのまま放っておくと記憶は薄れていく。せっかく覚えたことを、必要なときに思い出せるようにしておくためには、どのようなメンテナンスをすればいいか。

「もう1度、読み返すことに尽きます。7回読んで覚えたことも、8回目、9回目と読んでいきましょう」(弁護士・山口真由氏)

そのときに注意してほしいのは、所々を丁寧に読むこと。人の記憶は時間の経過の中でゆがんでしまうことがある。山口氏はそれを「記憶のバグ」と呼んでいる。たとえば「大下さん」を「大島さん」、「1945年」を「1954年」と記憶するなど、自分の思い込みで間違って記憶することがよくある。そうした記憶のバグ(間違い)を早期に見つけて、正しく覚えなおすことが大切なのだ。

また、「聞く」ではなく「読む」という作業で覚えるデメリットとして、「金城(かねしろ)さん」を「キンジョウさん」と間違って覚えてしまうなど、「読み方」でつまずく可能性がある。これを防ぐためには、書類やテキスト上の重要な固有名詞や事実関係にはあらかじめマーカーを引いておき、その部分だけ各5秒かけて「読み方」をチェックするなどして確認することが効果的だ。

 

(大島七々三=文 PIXTA=写真)