大迫と同じロンドン五輪世代の原口も攻撃の切り札になり得る存在だ。ヘルタ・ベルリンでは相変わらずエネルギッシュなプレーでピッチを駆け回り、ワールドカップのアジア最終予選では9月6日のタイ戦から3試合連続ゴール中。代表では激戦区と言われた左ウイングの定位置争いをリードしており、本人の言葉──「『原口、絶好調』というふうに書かれるのが、僕は嫌なんです。(中略)たまたま調子が良いわけじゃないんです」──からも自信は窺える。

 リオ五輪世代でA代表に初選出された井手口陽介(G大阪)も、リーグ戦で目を見張る活躍を見せており、出番がありそうだ。ハリルホジッチ監督が過去の実績ではなく、なによりコンディション重視(所属クラブで試合に出ているか否か)でスタメンを選ぶようなら世代交代が一気に進むかもしれない。

 いずれにしても、9月や10月とは違って今回は親善試合を挟んだうえでワールドカップの最終予選を戦う。初練習の11月6日から15日のサウジ戦まで10日間もあるのだから、「準備期間」を言い訳にできない。セットプレーの弱さ、決定力不足という不安要素を抱える状況下で、指揮官はどんな選手を起用し、どんな策を用いるのか。

「サウジアラビアは我々のグループの首位にいます。我々には選択肢が少ない。つまり、この試合には勝たないといけません。(中略)アグレッシブに、疑いを持たずに戦わないといけない。勝利を追求しないといけないのです」

 11月4日に行なわれたメンバー発表の席でハリルホジッチ監督がこう話したように、サウジ戦で求められるのはなにより結果だ。極論を言えば、11日のフレンドリーマッチはFIFAランクで明らかに格下のオマーンにたとえ負けようが関係ない(ちなみに、ハリルホジッチ監督はこの親善試合に代表で実戦経験のない選手を試す意向を示している)。サウジに勝てれば、それでいいのだ。

 仮にサウジ戦で敗れた場合、ハリルホジッチ監督は日本代表監督の座から潔く退くべきだ。

文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)