ただ、内容やサッカーの質は問わないけど、そこに至る論理的なプロセスが全く感じられない勝利だったのは否めない。
 
 ハリルホジッチ監督は、今回の試合に空中戦やポストプレーで威力を発揮できる選手を招集しなかった。いま絶好調と言われる大迫やオランダで開幕からゴールを積み重ねていたハーフナー。それにJリーグでも豊田は決して調子が悪いわけじゃない。
 
 ハリルホジッチ監督は、各選手に招集レターを出した後に、大迫が活躍しだしたと言っていたけど、ハーフナーは昨シーズンから継続的に点を取っていたよ。豊田だって今季も12ゴールを挙げ、献身性という点で言えば欧州組のふたり以上だ。
 
 こうしたFWの人材がいるにもかかわらず、ひとりとしてチームに入れずに、結果的にパワープレーに頼るサッカーをしている。勝つには勝ったけど、これで選手たちは(招集されなかった選手も含めて)、監督のやり方に納得できるのかな? あの局面に至るまでに交代カードが残されていたら、やはり本田に代えてハーフナーや大迫を入れて、まずはしっかりトップに起点をつくるという選択肢も生まれたはずだ。明らかに指揮官の準備不足と言えるよ。
 
 それでも、ここでポイントになるのはやはり勝ったという事実。勝てば、良い雰囲気の中でイラク戦の反省点について議論できるだろうし、ハリルも次は自信を持って高さや強さに特長を持つ選手を招集できるだろう。
 
 次はいよいよ、予選の鍵を握るアウェーのオーストラリア戦。イラク以上に高さには自信を持っている相手だ。先日のサウジ戦(2-2)でも、相手は明らかに警戒していたが、しっかり空中戦で決めてしまった。その高さに日本はどう対応するのか。選手、監督ともども、相当に危機感を高めなきゃいけないよ。